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宿ではなかなか「熟睡」というわけにいかない。4時台に目覚めてしまう。朝風呂に入る。湯は薄くオレンジがかっている「ナトリウム・塩化物強塩泉」で、「黄金の湯」とも。合宿の小学生グループに言わせれば「おしっこみたいな色」だが。地下に沈んだ海草などが長い年月を経て分解・濃縮されたと考えられており、ヨウ素が多いのが特徴だそうだ。舐めるとしょっぱい。
5:33 風呂上がりに徒歩数分の浜へ。日の出の太陽の光はまだ柔らかい。
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沖で漁船が、波に揉まれながらくるくると向きを変えて操業している。時折エンジンの唸りを上げて、煙突から黒い煙を吐きながら波とぶつかりあっている。
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砂丘に上がる。駐車場で高校生らしき女子グループがトレーニングをしている。列を作って順番に何やらメニューをこなしているが、それが何の種目のトレーニングなのかわからない。顧問らしき中年男性も一緒にいるが、特に指示を飛ばすでもなく、手持ち無沙汰の様子。顧問なら当然なのだろうが、この早朝からトレーニングにつきあって、でも何もせずにいて、頭の中では何を考えているのだろうかと思う。向こうから見れば、砂丘の上にひとり佇む僕も、同様に見えるだろうが。
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9:08 朝食後に宿をチェックアウト、九十九里沿いに東へ車を走らせ、刑部岬の崖の上にある飯岡灯台の展望台へ。ここは60㎞に及ぶ九十九里の長い長い浜の終点でもある。
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車を走らせてきた西側を望む。遠くに旭市街が望める。町で目立つ高い建物はイオンのショッピングセンターと総合病院だ。これは日本の地方都市どこにでもある光景だろう。
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大根満載の軽トラック。「柵」代わりに荷台の縁に差さっている大根も。
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9:47 銚子電鉄・犬吠駅。今日はここから、銚子電鉄の10駅・6.4㎞の沿線を歩こうと思う。散歩にはちょうどよさそうな距離だ。
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歩き出すと、キャベツ畑の向こうを上り電車が犬吠駅を出発した。
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10:03 君ヶ浜駅。かつてはビーチの入口の駅として賑わったのだろうか、ホームには、屋根の支えだったと思しきむき出しのコンクリート柱4本と、葉を大きく茂らせたヤシの木が。
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駅から伸びる野道を行くと、海へ出た。
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野道と交わる森の中の小道を行く。素敵な散歩道。
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再び線路沿いに出た。木の架線柱が味わいがある。
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10:25 海鹿島駅。この手前に「あしか寿司」という寿司屋さんがあったが、もちろんアシカの寿司ではない。
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踏切脇には色とりどりの花が植わっていた。
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10:38 西海鹿島駅。下り電車が来た。元京王電鉄の車両。電車の運行は朝5時台から夜9時台まで、1日19往復。1時間に1本あるかないかくらいの頻度。客の増加が見込まれるゴールデンウィークには増発されるそうだ。
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2両編成の反対側はこんな顔。これも元京王の車両。京王時代はこんなペアを組んで走ることになるとは思わなかっただろうな。
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10:48 笠上黒生駅。上下線の交換が可能な複線の駅だが、線路上を行き来しているのはあのグリーンの1編成だけのようだ。
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線路は銚子市街へ台地を下りていく。
11:00 木立ちに囲まれた切り通しの中にある本銚子駅。
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道路からそのままつながるホーム。小屋横に留め置かれた自転車。曲げられた鉄パイプの改札口。傾いた駅名看板。
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11:13 観音駅。木造駅舎の駅がある一方、ここや犬吠駅(そしてかつては君ヶ浜駅もそうだったんだろうか)のように、洋風のこだわりを見せる作りの駅もある。観音なのに洋風(しかも「KANNON」)はどうかと思うけど。
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「観音」とはここ、駅から徒歩数分の飯沼観音・円福寺。
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五重塔もある大きな寺。夏のように陽射しの強い一日、境内の石畳と砂が反射させる光が眩しい。
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駅前の寂れた飲み屋街を抜け、線路沿いに戻る。ヤマサ醤油の工場だろう、炒った大豆のような香ばしい匂いが漂ってくる。
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11:31 仲ノ町駅。銚子駅まであと1駅。
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元京王の別塗色の編成と、元地下鉄銀座線の車両が駅構内に留置されていた。
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間に合わないかと少し焦ったが、出発前に滑り込み。銚子駅。JRのホームの先端を間借りしている。
【11:40銚子―(銚子電鉄線)→外川11:59】
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終点・外川駅。20分弱の乗車。車内では地元の女子高生2人組がワゴンでメロンパンを売っていた。ほどよく客が乗っていた車内、すべて売り切れた模様。
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線路の行き止まり。古い車両が留め置かれていた。
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駅から下り坂の路地を抜けると、外川の漁港が。
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海から駅への傾斜には、碁盤の目状に路地が通っている。その1本を駅に向かって登る。
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振り返る。家並みの向こうに海。
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外川駅を過ぎ、車を停めている犬吠駅へ戻る。僕が乗ってきた電車が、外川駅を折り返し銚子へ向けて出発した。12:30頃、犬吠駅から帰途につく。犬吠崎灯台へは車窓から挨拶だけして。