tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

余計な一言だとはわかっていたけどね…路上で名刺交換をねだってきた男に

2016-03-04 18:30:05 | 今日の出来事
会社の近辺の路上で、通行人に片っ端から声をかけているスーツ姿の男たちがいるなとは、
数日前から目の端っこに映り込んでいて気づいていた。
決して繁華街ではないので、こういうキャッチの人間は、いるだけで目立つ。

夜、帰りがけのその道で、男がつかつかと歩み寄ってきて、
首から提げた社員証らしきプレートを示しながら話しかけてきた。
「メ××ランドの××と申します。この辺りで知り合いを作りたくて、
名刺交換をさせていただきたいのですが!」

これに応じるとどのような展開に至るかは、国民生活センターのホームページを参照されたい。
「路上で名刺交換に応じたら、その後しつこくマンション勧誘を受けた」
手法としてはもはや「古典的」な部類に入る。
僕はすでに何年か前にも品川駅前でこれを経験している。

路上に現れる怪しい奴といえば、
前に遭遇したあれ(「路上で『時計さしあげます』という謎の男」)を思い出すが、
リアクションもあの時と同じ。「黙殺」。

フン…鼻からほんの少し息を抜くくらいの最低限のリアクションしかせずに、
歩みを緩めることなく通り過ぎようとした。
奴もそこでおとなしく引き下がっておけばよいものを、
「もし、もーし!」(人を食った物言いだ)などと言ってついてこようとするので、
彼の方に半分だけ顔を向けて、「そんなブラック企業、早く辞めた方がいいよ」
とだけぼそりと呟いて、歩き去った。
後ろの方で奴は、「あはっ!どんだけホワイト企業なんですかー!」と声を上げていた。

…まあ、余計な一言だったな。

彼がブラック企業の犠牲者だとしても、それは彼自身の選択なわけで、
僕が口を挟むことではない。“It`s none of your business”ってことだ。
そもそも「犠牲者」かどうかもわからない。
ブラック企業の「積極的な構成員」かも知れないし。
だとしても、わざわざ挑発してみせることもない。

「どんだけホワイト企業なんですかー」という彼の反応の瞬発ぶりから察するに、
彼自身も自社(のやり方)のブラック評についてはすでに心得ているのだろう。
「そうさ、ブラック企業の俺は、ホワイト企業でのうのうとしてる連中を食い物にしてやるのさ!」という
開き直りの野望を燃え滾らせているかも知れない。

以前品川駅前で遭遇したのは、新入社員と思しきリクルートスーツの女子で、
彼女の場合は「会社から無理矢理やらされている」という悲壮感が全身から漂っていた。
哀れには思ったが、同情はできなかった。だからやっぱり黙殺した。
でも、あの時の彼女は、
「そんな風に『名刺交換してこい!100枚貰うまで帰って来るな!』って
社員を路上に放り出すのって、典型的なブラック企業の営業手法なんだぜ」と
誰かから教え諭されれば、素直に事情を呑み込めたんじゃないかという感じがあった。
あの時それが言えなかったから、今回この一言が出てしまったわけだけど、
彼の場合はきっと、これで人生を切り開こうとしているのだろう。
別に認めはしないが、「俺には関係ない」ことである。It`s none of my business.
自分の頭の上のハエを追うべきだね。

<追記>
これも「マイナス金利政策」の徒花なんだろうか。
「銀行にお金を預けても金利はスズメの涙ほどしか付きません。
しかも、今は住宅ローン貸出金利が過去最低水準。
これから2020年オリンピックに向けて東京はますます活況を呈しますし、
今が不動産投資を始めるチャンスですよ!」
…彼らのセールストークがありありと浮かんでくるようだ。