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今日は帝劇 明日は日劇 はたまた国技館に後楽園ホール さらには落語家の追っ掛け 遊び回る日常を描きます。

一穂ミチ「砂嵐に星屑」

2022-09-06 09:36:52 | 日記
一穂ミチさんの「砂嵐に星屑」です。
この間読んだ「パラソルでパラシュート」に続き2作目。
「パラソル」は、若手お笑いコンビが主人公でしたが
今回は、大阪のテレビ局を舞台にした連作小説。
春夏秋冬に分かれた4作が収録されています。

春は「資料室の幽霊」
文字通り、幽霊の出る話。
私、幽霊とかは信じる方なので、素直?に読みました。
資料室に、かつての花形アナだった村雲の幽霊が出るという。
おりしも、10年前、彼との不倫が理由で東京に飛ばされた
女子アナの三木が戻ってきていた。
彼女にしか見えない幽霊。
村雲が資料室で探しているものは•••

夏は「泥舟のモラトリアム」
50代のテレビ局員•中島。
部下からの評判は良いが、もう先は見えている。
斜陽のテレビ界。
同期たちの中には、早期退職して第二の人生を歩んでいる者もいる。
自分の行く末は•••
悩む中島。
もう一つ、家庭でも問題を抱えている。
娘と、あることがきっかけで、2年間口をきいていない。
地震が起きて、電車が止まったなか、4時間歩いて会社に向かう中島。
そこで見えてきたものは•••

秋は「嵐のランデブー」
20代のタイムキーパー結花。
大好きな由朗とルームシェアして暮らしている。
同棲ではなく、ルームシェア。
というのは、由朗はゲイだから。
結花は、由朗と結婚したいとまで思うが
由朗に、その気なし。
彼が憧れているのは、多田という妻帯者。
さて、この3人の関係は、どうなる?

冬は「眠れぬ夜のあなた」
30代のAD•堤。
周りからディレクターとしての1歩立ちを進められる。
が、当人に、その気はない。
押しきられて「アラサー」という10分のドキュメント番組を任される。
身近にいる意外なプロフィールのアラサーを取り上げる番組。
取り上げるのは、並木広道という芸人。
かつては、外資系企業のバリバリのエリートだったのが
今は、人形を相方に、病院などで余興をしている。
彼が芸人になった理由。
堤は、どこまで真相に迫れるか。

4作とも、それなりに捻りが効いていますが
私は、最後の「眠れぬ夜のあなた」が、展開の広がりなど
一番面白く読めました。