いかにも時代な「三十六人の乗客」

池袋文芸座「絶対に観てほしい邦画サスペンス５０～７０年代」で、「三十六人の乗客」観てきました。私、この小説読みたかったんですが、未読のまま。密室状態のスキーバスの中に凶悪犯が紛れ込んでいる・・・こういうシチュエーション好きなんですよね。昭和３２年の作品です。
クリスマス時、３００万円の現金が強奪される事件が起こります。犯人は、国鉄の駅で盗んだ札を使おうとした時に見つかりますが、うまく逃げおおせます。警察の失態にいらつく老刑事・山上（志村喬）　この山上の娘婿の刑事・渡辺（小泉博）彼は、刑事稼業に嫌気がさし、愛人（淡路恵子）とスキー旅行へ行こうと辞表を出しています。そのスキーバスに犯人が乗っているとの情報が。山上刑事から命を受けた渡辺刑事の捜査が始まります。
バスの乗客は、種々雑多。親子連れ　愛人との旅行　学生たちなどなど。怪しい人間も大勢。渡辺　一計を案じてバスガイド（扇千景）だけに身分を明かし、バスのトイレタイムの間に、乗客の荷物を調べるように頼みます。が、それが見つかり、険悪な雰囲気に。乗客の一人（中谷一郎）の自殺未遂から、乗客の正体がわかってきます。薬売り（千秋実）スリ（多々良純）を追いかけている刑事などです。やがて、犯人（佐藤充）が正体を現し、バスは険しい山道にさいかかっていきます。彼らの運命は・・・というお話。
約６０年前の作品。まず、扇千景のかわいらしいことに驚きました。さらに、森川信　多々良純　千秋実など、一癖も二癖もありそうな脇役陣が、犯人探しの興味を盛り立てます。信州に向かうスキーバスが、途中休憩をとる浦和　熊谷などの当時の情景も興味深い。９５分　コンパクトにまとめられたサスペンス映画でした。