発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

三角貸し切り(?)クルージング

2014年09月04日 | 物見遊山
◆そういうわけで三角(みすみ)
 ああ、夏も終ってしまったなあ、と、海に行きたくなった。
 で、今回は三角西港にでも行こうかと、電車に乗る。熊本から三角行き、一両で単線を走る気動車は、席が一列+二列である。海、草ぼうぼう、雑木林、海、トンネルと進む。まだ夏の香りを残している。まさに海に行く鉄道。いいね。
 着いた駅では、職場体験の地元中学生が改札で出迎えてくれた。アナウンスも中学生。
 JR三角駅は、美しく改装されている。木を使った落ち着いた内装、ベンチや暖簾、かわいい外観。ひとめで水戸岡鋭治氏の手によるものだとわかる。
 港湾は工事中で、立ち入り禁止の場所も多く、重機があちこちで見られる。三角西港へは前回はタクシーで行ったっけ。歩いても30分少しであるが、まだちと暑い。九州産交が、観光を意識したバスを出してる。
 バスを待つにも時間があったので、駅周辺を歩く。昔、駅弁を取材に来たときの弁当屋さんは残っていた。今は駅弁としては売られていないが、鯛の姿すしや、天草四郎すし弁当のパッケージがショーケースに展示されている。声を掛けると「今日は売り切れ」とのこと。それでも予約すれば買えることがわかっただけ収穫だ。

◆三角西港へは海路で
 と、ポスターが。
「『みすみ浪漫クルーズ』三角港連絡船、試験運行はじめました」
 なんですって? 
「三角西港←→三角東港/一日5往復10便」 9月1日~11月30日、火曜お休みって、今週からで、今日が運行3日目?
次の東港出港時刻は30分後だし、試験運行につき運賃無料だし。桟橋には誰もお客さんは待ってないし。これは乗らなきゃ、だよね。
 どこから乗るのか、ポスターだけではよくわからないので、物産館で乗り場を確認した。
 で、船がやってきた。
船は白いピカピカのキャビンクルーザー。わお、キチネットつきのプレジャーボートだ。 これを、貸し切り状態で(他の乗客は、屋上に出てた)出航。ガイドさんつき。
 三角東港(JR駅前)→三角西港は20分、帰りは10分である。

◆着いたのは、なぜか下関……?
 そのうちに三角西港が見えてきたのだが、ものすごく人が多い。前回はこんなに賑やかだったっけ? よく見ると「所合待港関下」(←右から読むのね)の横断幕が見える。「御辨當」とか「土産物」とか書かれた幟も見える。
 テレビのロケの撮影をしていて、どうやら、ここは「下関港」ということらしい。人が多いのは、テレビクルーと、野次馬であった。上陸すると、その端っこに加わってしばらく撮影の様子を見ていた。
 三角西港は古い港がそのまま残っているので、映画やドラマのロケ地になる。近年は「坂の上の雲」で、横浜港になった。レトロな建物もいくつかある。
 時代は、昭和初期、冬ということはわかる。
 女優は毛皮のコート。軍人役はフードつきのロングコートである。さぞ暑かろうなと。
 行き先が「若松行」「小倉行」のほかに「秋穂行」とある。山口県に住んでた人以外で「秋穂」を「あいお」と読める人は、そう多くあるまい。古い山口の外港であったことは知っていたが、昭和のはじめには下関航路があったということか。
 松嶋菜々子が来ているというのは聞こえたが、どの人かはわからなかった。美しい断髪の女性がいて、なんと青木さやか。生青木は、相当美しい。あと、クラシカルというか、むしろコミカルなヒゲをつけた男性が見えた。野村萬斎っぼかった。
 どんなドラマだろうか。と、帰って調べたら、たぶんこの辺りで間違いなかろう と。 お正月ドラマの撮影ね。
 テレビクルーの貸し切りになっていたため、レストランもカフェも使えなかった。
 何年か前来たときには、海に面したテラスで素敵なランチが食べられた。でも、そのレストランは、まさにそのテラス部分で撮影をしていたから立ち入り禁止。もう一軒のカフェも、クルーの控え室になっていた。
まあ、売店は営業していたから、大丈夫。
 また船で三角東港に戻った。帰りも、ほかのお客さんが階上にあがったので、キャビンは再び貸し切り状態に。

◆観光化が進む
 ガイドをしてくれた女性に、有料運行になったら、いくらくらいの設定を考えているか聞いたら、まだ検討中とのこと。
 ちなみにバスで行く場合は220円で、タクシーだと1000円を少し越すくらいだったと記憶している。せっかくの港だし、景色もいいのだから、海を使わない手はないよね。このあたりは穴場的な場所だったのだが、「穴場」のままでは採算はとれまい。JR九州の観光特急「A列車で行こう」も来ることだし、これから観光客をどんどん呼び込もうということなんだろうな。
 ただ、地元の人々は、人を呼びたいのであれば、船に乗りたいが何処に行ったらいいだろうかと尋ねたときに、私と連れを見て、船が沈みやしないか、などと軽口を叩かない方がいいかと。赤の他人からは、ほとんどというより、まったく言われたことのない種類のことばで、正直、財布のひもが少しばかり堅くなるものである。まあ、そういう意味でも、あまり観光地らしくない。これも穴場風味の一部なのかな、とも思った。

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