発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

エネカンのおもひで

2015年07月03日 | 日記
◆さよなら、九州エネルギー館
 浄水通の九電体育館の隣にあった九州エネルギー館が、閉館一年余りを経て完全に取り壊されていた。

◆エネカンのおもひで
 九州エネルギー館の展示物は、エネルギーの歴史、電気電力の歴史から、さまざまなエネルギー関連の発見、発明、エネルギーのしくみなどが紹介されていて、圧巻は、揚水発電の実演と、加圧水型軽水炉の模型だった。
 ここには、いろいろな実験ができるおもちゃや遊具があり、小さな図書館(貸し出し不可)があり、ほとんど無料で遊べた。
 イベントもいろいろあった。
 ボランティアによる子ども向け科学教室、陶芸教室など、無料か材料費のみで参加できた。
 地元劇団のミュージカルや、声優さんたちの朗読会、腹話術と奇術のショーなどがあったと思う。
 ようするに原子力発電を含めた企業のPR施設と、メセナと、オール電化ショールームを混ぜたようなものだった。 

◆エネカンで映画好きになったんだよ
 ここでは月に2~3回、映画会があり、劇場上映終了したもののDVD発売前の比較的新しい作品から、古典と呼ばれるものまでいろいろ上映していた。
 最初に映画会に行ったときは緊張した。原発のPR映画を前座に見る義務がある施設かと思い込んでいた。そんなことはなかった。
 それで、土曜や日曜に、子どもと歩いてエネ館に行って映画鑑賞する、というスケジュールを入れることにした。家から歩いて軽めの運動とするにちょうどよい距離だったし。
 ここで鑑賞した映画で思い出せたものは以下の通り。順不同。記憶違い(劇場や試写会でみたもの)が少し混じっているかも知れないが、9割以上は合ってると思う。洋画はアニメ実写ともディズニーやドリームワークスのものが多かった。動物系、ネイチャー系も多く、家族で安心して鑑賞できるような映画がほとんどだった。

「ホーンテッドマンション」(エディ・マーフィーね)
「クイール」(原作は盲導犬クイールの一生)
「ジャックと豆の木」(山本リンダの「奇跡の歌」)
「ハッピー・フィート」(ペンギン)
「パイレーツ・オブ・カリビアン」(のうちのどれだったか)
「壬生義士伝」(浅田次郎原作。安心して鑑賞できる映画の多いなか、この映画では冒頭で小さくだが、人の首が斬られてぶっ飛ぶのでびっくりした)
「長靴をはいた猫」(東映アニメーションのロゴマークの猫の絵がこれ)
「太陽の王子ホルスの大冒険」(日本劇場アニメの古典)
「はだしのゲン」(実写版。原発PR施設で原爆の映画をやってたのは、平和利用を広報する施設なのだから矛盾しない。もっとも、投下までのゲンと家族の生活と投下直後が主で、核汚染の影響の話が出て来るより前に物語は終わる)
「ハリーポッター アズカバンの囚人」
「シャーロットのおくりもの」(蜘蛛)
「ステュアート・リトル2」(ネズミ)
「ハイジ」(実写版)
「アイ,ロボット」(ルンバの会社じゃなく2035年シカゴが舞台のSF映画)
「レーシングストライプス」(シマウマ)
「スパイダーマン2」(怪人ドックオク)
「ガーフイールド」(ネコ)
「ウォレスとグルミット」(クレイアニメ)
「アイスエイジ」
「ダンボ」(ディズニー古典!!)
「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治!!)
「さよなら、クロ」(松本深志高校に実際にいた犬が主人公)
「カンフー・ハッスル」(爆笑)
「あたしンち」(情熱の赤いバラ)
「名探偵コナン 銀翼の奇術師」(なんで小学生の前で殺人ばかり起きる? なんで小学生に旅客機を操縦させる?)
「シュレック」
「皇帝ペンギン」(ほかにもネイチャー系はあったような)
「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」(ダスティン・ホフマン)
「ホーラー・エクスプレス」(オールズバーグの絵本『急行「北極号」』のアニメ)
「ALWAYS 三丁目の夕日」
「チキン・リトル」
「博士の愛した数式」
「101」(実写版)
「コープスブライド」
「ゲゲゲの鬼太郎」(実写版)

 ともかく私のかなりの部分は、正直、エネカンでできてる。子どもをダシにエネカンに行って映画好きになったといっても過言ではないかも知れないのである。
 そのうちに劇場に足を運ぶようになり、試写会にも頻繁に行くようになった。 
 だが、いちばん九電がこの施設の目的としていたところの、原子炉の模型を、子どもたちが目をキラキラさせて見学する、ということが、いろいろな意味で不可能になった時点で、この建物の役割は終了した。映画会どころではなくなった。そして昨年3月、れいの震災から3年で閉館、そして今、更地になった。そのうちにセキスイのマンションとなるのである。


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