きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

思い出探し(21)・崖から転落

2010年09月20日 | 思い出探し
確か小学校5年生だと思うが、気仙沼の家の前の山で例によって近所の悪童達と遊んでいた時、崖から転落するという事件を起こしてしまった。

 山は段々畑になっていて、夏にはバライチゴ、春にはバッケ(フキノトウ)などが畑の畦に生えて、そんなのを採ったりした場所だが、男の子達にはもっぱらチャンバラなどして駆け回るフィールドとなっていた。

 その日も、山の上の方から皆で速さを競うようにして、段々畑を飛び降り飛び降りしながら駆け下りてきたのだが、私は勢いがつき過ぎて下の狭い道で止まれずそのまま道幅を飛び越してしまった。
 その道は切り立った崖の上にあって、崖の高さは7~8mはあったから、私はもんどりうって落下したわけである。
 前のめりになって崖から落ちる!・・・までは、しっかり目を開いていたようで、崖下が見えたところまでは記憶に残っているが後は目の前は暗転して、そのまま背中からスーと下に落ちる感覚があって、これが結構長い時間に感じられて・・・突然、それまで経験したことがない強さで背中全体をドカンと叩かれて、丸まっていた体が瞬間的に大の字に開かされた感じになって、息が詰まって・・・気絶してしまったようだ。

 どれだけ伸びていたのかは分からないが、目をさますと側に母がいて、兄がいて、周りに近所の人や悪童達がいて、しばらくは状況が分からなかったが。仰向けで寝ている先に崖の縁が見えて・・・あ~落っこっちゃた・・・、と納得した。
 落ちたところは、瓦礫に覆われていて、崖はほとんど垂直で、私は勢い良く前に飛び出したため、そのまま真っ直ぐに地面に落下したようだ。友達は声を掛けても応答しない私を見て、てっきり死んだと思って、青くなって走って母に知らせたらしい。

 幸いにして、しばらく休んでいたら何とか手足も動くようで、母に助けられながら歩いて家に帰った。
 家に帰ってすぐ、着の身着のままで寝かされて、「痛いところは無いか?」「具合はわるくないか」「良く助かった!」とか、一杯心配され、「大丈夫、大丈夫、なんともない・・・」などと言っていたが、しばらく経つうちに、体のあちこちが痛み出してきて、特に左足の脛の部分が痛いので、ズボンをまくってみたら、なんと脛の半分くらいの長さの切り傷ができていて、だらだらと言う感じで血が出ていた。

 こんな状況で医者にも行かないで済んだのは不幸中の幸いで、赤チンを塗って済ませてしまうのが当時は当たり前だったのかもしれないが、一つ間違えば命を落とすか、歩けなくなったかも知れない訳で、今思えば恐ろしい限りである。
「死ぬ・・・!」と思ったのはこれ以降何度かあるのだが、幸いにして生き延びて、昨年還暦を迎えたのである。

<鍼灸マッサージサロン・セラピット>

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