きらく堂日記

鍼灸師の喜楽堂が日々の出来事、過去の思い出、趣味にまつわる話などを綴った日記帳(=雑記帳)です

思い出探し(19)・安波山からの初日の出

2010年09月20日 | 思い出探し
写真;平成22年7月。同窓会で気仙沼に行き安波山に久しぶりに登る。山頂から市街、気仙沼湾と大島を望む

 

モノクロ写真は昭和40年頃の同じ場所からの風景。一見現在と全く変わらない風景に見えるのだが・・・、2写真を比較して良く見ると湾に面した海岸近くが埋め立てられて、昔に比べて道路が拡幅されたり家が増えているのが分かる。

安波山(あんばやま)は気仙沼市街の北に位置する標高239mの山だ。
山というほどの高さではないが、私が気仙沼に引っ越した昭和30年代半ばには、植林後間もない、子供の背丈程の杉の木に覆われて、道と言える道も無い状態で、子供達には恰好の遊び場所だった。

 夏冬の区別無く、何かにつけてみんなで登って、チャンバラごっこや栗拾い、杉鉄砲での戦争ごっこ、竹スキーやアベック探検(?)・・・と遊んだものだ。また開校記念日や市制記念日など、全校や全市民が登るというような行事もあった。

 気仙沼に引っ越してすぐに近所の子供達に誘われたのは、初日の出を山頂から拝むというものであった。缶詰の空き缶で作ったカンテラに蝋燭をともして、元旦早朝の寒い、暗い、怖い・・・の山登りは、子供達にとってはまさに肝試しでもあった。

 今ではクルマですぐに行けてしまうようだが、当時はちゃんとした登山道がある訳でもなく、獣道みたいな山道をカンテラの薄明かりを頼りに麓から登るのは結構大変だった。途中からは他の道から来た大人たちと合流して少し安心して登れたが・・・。

 山頂に着いてから日の出までの時間を山頂で寒風に吹かれながら待つのがこれまた大変で、今では考えられないが、杉の枯れ枝を集めてきて盛大な焚き火を山頂の広場で始める始末で、杉の枝はめらめらと勢い良く燃え、顔が熱くて側に寄れないほどだったのを覚えている。
 海からの「初日の出」を拝んだのはこれが生まれて初めてだが、その時なにを願ったのかは覚えていない。

 42歳の厄払いの同窓会に参加するため20数年ぶりで気仙沼を訪れた時に、安波山に登ってみようとふと思いたって、福美町から昔の記憶を頼りに登ってみたが、当時子供の背丈ほどだった杉も立派に育って、うっそうとした杉林に覆われた山の何処から登って行けるのかさえ分からず、諦めてしまった。大きく育った杉の木を見て、過ぎ去った年月の長さをあらためて思い知ったのでした。

還暦を過ぎてから毎年おこなわれているクラス会に今年も参加したついでに、天気にも恵まれてやっと安波山の頂上まで登ることができた。
気仙沼湾と大島のバランスの美しさは昔と変わらず、遠景からの町は昔と変わらない風情だったが、良く見れば田圃はずいぶん減ってしまっていた。

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