秋田県横手市増田町 千葉建築のブログ

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大三元

2010-10-15 06:56:34 | 歴史と文化
10月15日(旧暦9月8日 五黄 仏滅 丁酉)


おはようございます。横手市増田町の工務店、千葉建築です。

暖かい秋の日が続く今日この頃ですが、さすがに夜は冷え込み、昨夜は窓を半分あけていたこともあり、一度目がさめてしまいました。

風邪など引かないように、10月後半を乗り切って行きたいと思います。


暦に着目すると、今日は「三元」の一つ「下元」となっています。

今は新暦ですので、正確には旧暦の10月15日(今年は新暦の11月20日)がその日に当たります。

三元には、「上元」「中元」「下元」の3つがあり、それぞれ旧暦の1月15日・7月15日・10月15日にあたっています。

中元は、「お中元」という風習がよく知られていますが、元来これは上・中・下でセットになっているものであり、これらの起源は古代中国にさかのぼります。


「三元」と言う言葉を聞くと、私を含め一部の方には「大三元」「小三元」というものを連想する方もいらっしゃるかと思います。

大三元は役満、小三元は4飜役(役が2飜+役牌刻子が2組で2飜)という、麻雀愛好家にとってはなじみのあるものです。

残念ながら麻雀の「三元」は、中国歴代王朝で行われた官僚登用試験の「科挙」において、「郷試・会試・殿試」のトップ合格者(首席)に、それぞれ「解元・会元・状元」という称号を与えられたことから、これら3段階を全て首席(トップ)合格したことを「大三元」としたことがその起源となり、暦の三元とは直接関係がありません。


暦の三元については、以前の記事でご紹介していますので、今日は麻雀科挙についてご紹介したいと思います。

科挙は今から約1400年前の中国の隋王朝の時代に始まり、中国における最後の王朝の清王朝の末期まで、約1300年間続けられた官僚採用の試験です。

時代によってその呼び名や試験科目は変わりましたが、中国において官僚となって立身出世するには避けて通れない試練として、長年に渡って若者の目標となりました。


この制度が成立する前までは、官僚となるには地元出身の貴族による推薦が必要であり、必ずしも優秀な人材が官僚となるわけではなく、むしろ世襲による点が強いものでした。

一時の中断時期を除いて400年間中国を治めていた漢王朝が滅び、三国志で知られる国家の分裂時代を統一した晋王朝も、早々に国家の分裂を呼び、有力者による割拠の時代が続いていきました。

漢王朝末期の混乱期から、約400年後に再び中国大陸を統一したのは隋という王朝でした。

隋はわずか2代で滅びましたが、科挙を始めとする諸制度の改革は続く唐王朝に引き継がれ、唐は滅亡までの約300年近く、アジアにおける大帝国として繁栄しました。

古代の日本が行った遣隋使・遣唐使はこの時代に行われ、社会システムや宗教、文化などに多大なる影響を与えました。


科挙に合格するには、漢字は当然として、「四書五経」と呼ばれる儒学の全てに精通していることが最低限度とされました。

清代末期の様相では、受験生は国の指定する学校に所属し、13回にわたる試験を通って初めて「科試」という受験資格を得ることができました。

科試合格への倍率は100人に1人とも言われ、これだけでも途方も無い「狭き門」となっています。


合格してから3年に1度行われる「郷試」という試験の受験ができ、これに合格したものは「挙人」と呼ばれ、生涯にわたってその資格を得ることができます。

郷試の試験が行われる翌年には挙人のみを集めて会試が行われ、さらにまた皇帝の御前で最終試験「殿試」が行われ、その優劣によってやっと官僚への登用がなされることになります。

これらの試験による公務員の採用は、ヨーロッパなど海外諸国でも参考とされ、日本においても明治時代に科挙を元に、高等文官試験=現在の国家公務員一種試験の原型、が取り入れられました。


科挙の試験中は独房に入れられ、中には精神を患うものもいたほどの厳しいもので、それらを乗り越えた試験に合格した「エリート官僚」は「進士」とよばれ、故郷に錦を飾ることができました。

長い歴史の中には多くのカンニングも行われたようで、肌着にびっしりと文字が刻まれたものを世界史の資料集で見た記憶があります。

科挙に不合格した人には、「国破れて山河あり」の詩で知られる「詩聖」杜甫や、唐代に進士にトップ合格しながら玄宗皇帝にそのルックスから不合格とされた鍾馗(のモデルとなった人物)などがおり、長い中国史でさまざまなドラマを生む制度となりました。



日本において、「詰め込み教育」「受験戦争」の反省から、「ゆとり教育」が勧められ、その弊害も昨今の問題となっています。

確かに行き過ぎたカリキュラムは子供に重圧を与えますが、かといって必要なことを教えなかったり、競争意識を与えなさ過ぎるのは本末転倒であると思います。

「教育は国家百年の計」というように、若い世代に教え育むことは人材を形成し、国を支える面でも基となるものだと思います。

教育を考える上でも、多くの方々からさまざまな意見を得て、これからの方向性を考えるべきだと思います。


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