みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

古城の梅

2019年02月25日 | 俳句日記

天守閣下の紅白の梅


2月25日〔月〕晴れ

天神町に求める物があったので出かけました。
車窓の外は、家々の屋根にもビルの窓々にも春色の光が照りかえり、川も橋も道も人も春の陽気に
充たされています。

この都会の春望は、もう紛れも無く春が私たちを包み込んでくれた証なのです。
その佐保姫のふところの温みの中で私は微睡んで
いました。

買い物を済ませましたが、佐保姫はなかなか私をリリースしてくれません。
「ならば!」と私は春のど真ん中を目指します。
目的地は福岡城址の梅林庭園。



バス停から庭園のある天守閣へ向かう坂の途中で既に馥郁とした梅の香が迎えに来てくれてます。

《梅が香に のっと日の出る 山路かな》芭蕉



《白梅の 花に蕾に 枝走る》倉田絋文



《紅梅の 満を持しをる 蕾かな》下村梅子



《枝垂梅 とうとうたらり 枝垂たり》徳永山冬子

こうして実物を見ながら先人の句を味わうと詠人
の境地が心なき我が身にも伝わって来そうです。

梅は毎年毎年新芽を剪定しながら枝ぶりを整えていくもの、そういう意味では梅の自然の造形と人の手で織りなす協働芸術なんですね。
帰りの道ぎわに紅梅の獅子頭が咲いていました。



〈梅の花 枝剪る人の 心ばえ〉放浪子
季語・梅の花(春)