みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

春炬燵

2019年02月09日 | 俳句日記



2月9日〔土〕春雨 風寒し

予報では雪であったが冷たい雨となった。
頭の中では“春の雪”を美しく詠もうと期待していたのだが"春雨"となってしまったのである。
春雨には冷たいと言う語感はないのである

今日の雨は、見るからに厚く天を覆う雪雲から降り散る雨だけに殊の外冷たい。
春のこの冷たい雨をなんと言うのか調べてみた。
なかなかピッタリ来る季語は無い。

“春霖”は冷たさの語感はあるが、数日降り続く春の雨のことだし、
“春驟雨”は雨足の強い春雨のことである。
してみると不勉強を恥じて天文の項は諦めよう。

昨日は雪を想定して巣籠もりを予告しておいた。
気付けば朝から炬燵に入ってガサゴソしている。
“春炬燵”と言う季語がある。
「夏炉冬扇」の類では無い、至って真面目だ。

今ご厄介になっている炬燵は福岡で求めた。
2年目の冬である。
ファンヒーター式の食卓型だから頗る使い勝手がよろしい。

東北では座卓式であった。
危なく凍死しかけた。
あちらでは酔いに任せてのうたた寝は死を招く。
腰から下ぐらいの暖では間に合わない。

この時、低体温症の怖さを知った。
だけど五年間の北国暮らしには、ひちりん型の石油ストーブと共に無くてはならない友であった。
24時間点けっ放しのエアコンは負担は大きい。

いまはこの食卓型の炬燵が得難い友である。
「人間至る所青山有り」青山=墓所
そして至る所に友が居る。
有難いことを実感出来れば、即ち友なのである。

〈暫くは 共に耐えるか 春炬燵〉放浪子
季語・春炬燵(春)