みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

亀鳴く

2019年02月10日 | 俳句日記

亀は万年

2月10日〔日〕曇りのち晴れ

朝の間は雲が多く時たまの日差しでした。
さほどの寒も無く大濠の鳥達が気になります。
考えあぐねる事小一時間、恨めしく見上げていた空がみるみる晴れ渡たるではありませんか!

すわと、双眼鏡と日の丸弁当を手にして出かけて観ればこの通り。


今年初めての大濠公園です。
みんな元気に走っています。
名も知らぬ春さきの紅い実が、陽光に煌めく水面に映えて迎えてくれました。


オマケに和装の美女までお出迎え。
ヤマトナデシコと思いきやなんと異国美女‼︎


「何処から? 」と訊くと「香港」との答え。
春節休みで日本🇯🇵に初めての観光旅行。
「ご感想は?」「美しくて楽しい」
相手が片言英語だと、かえって会話が弾みます。

「Have a good time in Fukoka」とお別れして、いつものように定位置に陣取ると、鳥たちに新年のご挨拶をしながらお年玉(餌)を撒きました。
待ちかねていたのか、来るわ来るわ。



今日は、カモメやカラスの群れを十数羽の鳶が蹴散らしてくれてます、金色では無かったけれど。



だから、平和の象徴である鳩やお米の好きな雀たちは御覧の通り安心して足元に寄っていました。
一頻りの饗宴の後、一羽のバンが忙しく湖上を清掃してくれてました、ご苦労様。


長居をしました。
バスの時間があります。
公園の中道をバス停の方向に進み始めた途端、亀が甲羅を干しています。(亀鳴く=春の季語)

「アレッ?やけに今年は早いな!」
と写真に収めたところにひとりの青年が同じ亀を覗き込んでいました。
「もう亀が出てきましたね。早いですね」

すると「turtle?」と問いかけてきました。
「Oh,yes」とビックリして答えましたが、すっかり日本の青年だと思っていたのです。
また「何処から?」から始まって話し出します。

「ペルーから‥」それで納得しました。
ペルーはスペインのピサロが征服するまでインカ帝国が栄えた地域ですから我々と同じDNAが流れています。

彼はハイブリッドなペルー人だったのでしょう。
彼も片言英語で答えてくれていました。
当然私とは話が繋がります。
「日本は海も山も川も美しい。街も美しい」

その辺りまでは着いていけてましたが突然歴史の話を振られました。
明日は“建国記念日"彼はそのことを知っていたようです。

こうなるともういけない。
日本の建国記念日は“独立記念日”でも無く“革命記念日”でも無く、我々日本人がこの列島に生存し始めた時から日本は存在した。

だから、外国にそのことを説明する為に神話が生まれた。
と伝えたかったが双方チンプンカンプン。
「Just wait here a moment!」

彼はそう言い残しブロンドの可愛いお嬢さんを連れて戻って来ました。
日本に語学留学しているフランスのお嬢さん。
彼が事情を伝えて彼女と私との会話が始まる。

が、今度は彼女の日本語がついていかない。
彼も彼女も実に懸命に努力をしてくれてました。
その姿に私は感銘をしました。
有難う、また会いましょうと肩を叩いて別れました。

この歳になって自国の歴史を伝えられない自分が情けなかったですね。
同時にこの難解な日本語を理解しようとしている
異国の青年達がいることを嬉しく思いました。

明日は「建国記念日」、万年の亀も顔を出した。
諸外国から興味を持ってもらえる國にしてくれた
先人達に感謝し、日の丸を門ごとに掲げて訪れる異国の人々を歓迎しましょう。

〈亀鳴きて 今日の訪れ いかばかり〉放浪子
季語・亀鳴く(春)