みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

2017年07月16日 | 俳句日記

ウナギは魚編に曼(長いさま、広いさま)
と書く。
文字通りの長い魚である。
万葉集には、「胸黄(むなぎ)」として出
ていると歳時記に書いてあった。
確かにウナギの胸は黄色い。
この「むなぎ」が訛ってウナギになった
らしいのである。

いよいよ鰻の蒲焼のシーズンが来た。
他の丼ぶりや御重は、ご飯が主役である
が、鰻丼や鰻重はメシが脇役に下がる。
天丼が手を挙げるが、匂いで敗けた。

そんな蒲焼も歴史はそんなに古くない。
江戸中期までは、イワナやヤマメのよう
に、ブツ切りにした鰻を箸の先に刺して
塩焼きにして食していた。

やがて京都で、開いた鰻をタレ串にした
調理法が考案されて、忽ちに江戸で評判
になった。
何故ならば、江戸湾に注ぐ川の数が格段
に違っていたからである。

産地と大量消費地が直結していた形だ。
値段も鰻丼一杯が16文、今の320円位
だから売れない筈は無い。
これは文化文政の頃ではあるが。

土用の丑の日に、ウナギを食べる文化を
流行らせたのは、平賀源内であることは
知られているが、彼は本草学者であった
から、夏バテにはウナギが効くと知って
いたのであろう。

お江戸の発展には鰻が貢献している。
(価格は夢文庫「江戸の商い」による)

〈大江戸の 夢をかみしめ 鰻食い〉放浪子
季語・鰻(夏)