先月中旬、家人が熱を出してコロナか、と思ったらやっぱりそうでした。
その二日後、私も急に寒気を感じて熱を計ったら三十八度三分。
即布団に潜り込みました。
それから丸二日間三十八度を超える熱に悩まされましたが、
実はその間、私の頭の中にはある曲が壊れたミュージックテープの様に流れ続けていたのです。
発熱による症状は主に筋肉痛と、お腹の張り、
それと何より辛かったのが眠りたいのに眠れない事でした。
なぜ眠れないか、
ほとんどの場合頭の中に流れる音楽を止められない事にありました。
本当に、なぜその曲でなぜ止められないのか自分でもよく分かりませんが
熱で脳をやられたのでしょう。
それは、私が若い時にヒットした歌でけっこう有名だと思いますが
二十二歳の別れ、と言う歌なんです。
五十年近く前の歌なので歌詞もうろ覚えでした。
所がウロ覚えの歌詞で歌って行くとどうしても歌詞の意味が矛盾しているのに気が付きます。
脳がやられた、と考えるのは
自分で歌っては歌詞の矛盾に首を傾げる行為を
ずっと繰り返していたと言う点にありました。
おかしいでしょ。
歌詞の意味がストーリーとして矛盾しているのに
歌詞の間違いに気づくわけでもなく
違う歌詞に変えてみるとかでもなく
ただ頭が壊れたテープレコーダーになったみたいだったんです。
怖いでしょ。
三日目に平熱に下がった私は、ネットでその歌の歌詞を調べてみました。
平熱に下がっても気がつけばその歌が頭の中に常に流れている状態で、
歌詞の矛盾が気掛かりで堪らないのです。
調べてみたら、私の記憶の間違いがわかりその間違いを正せば
ストーリー仕立ての歌詞がすんなり頭に入ってきました。
が、しかし、
半世紀ぶりにその歌の歌詞をちゃんと読んでみて唖然としました。
え〜、この歌ってこんな歌だったのか、と知ってがっかり😮💨
別れって言うから別れの歌には違いなかろうが、
まさかこう言う話だったとは思ってもいませんでしたわ。
若かりし頃、意味を知って歌っていたのかと思うと恥ずかしい限りです。
別れの歌だから失恋かなと思いきや実はそうじゃないのですよ。
十七歳の時から付き合った彼が二十二歳になっても結婚しようとは言わない、
東京にいる私に両親は帰ってきて結婚しろとうるさくて(これは想像)
先の分からない何処の馬の骨よりも
コチラの知っている方と結婚した方が幸せよ、と言い包められた結果、
目の前にあった幸せに縋りついてあなたと別れ知らないところへ嫁いでいくと
決めましたのでさようなら、と言うストーリーだったのです。
そんな歌だったってちゃんと覚えている人、居ますかね?
そんな歌だったんですよ。
いやーオラ知らなかっただな。
でね、今日のニュースを見たんですよ。
離婚率が過去最高だったそうです。
特に多いのが熟年離婚。
二十年以上連れ添っての挙げ句の果ての熟年離婚。
それを見て思うわけですよ。
半世紀も前から、愛よりお金、安定した家庭を選ぶ風潮だったから
今の時代になったんだなって。
大体失礼だと思いませんか、
あの歌のことですけどね。
気持ちは彼に未練たっぷり、なのに結婚する事が幸せと思って
あまりよく知らない人のところに嫁いで行くって
その人に失礼ですよね。
愛してないけど結婚しますって、言ってる様なものでしょう。
頭の中で作り上げた計算づくの人生を選ぶ事が主流でしたよね。
愛のない家庭から幸福は生まれないって事でしょうか。
何だかニュースを見て、私の頭に起きた出来事とちょっとリンクしている様な気がして
面白いですね。
正しい歌詞を知って矛盾が解けたその後も、その歌が頭の中になり続ける現象はしばらく続きました。
七日くらいは続いたかな。
その後徐々に他のメロディーや計画なども思考できるようになってきて
今はほとんどその歌を思い出さない状態になりました。
やれやれです。
それにしても、まさか自分にこんな事が起ころうとは
全くの想定外の出来事に面食らったと言うしかありません。
ある意味興味深い出来事だったので記録しておくことにしました☆