a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

歩く男。

2011-02-05 17:50:41 | 東京公演
劇団員はみんな、彼を「しげ~!」とか、
「しげさん!」と、呼ぶ。
レターで紹介されているように、
鹿児島県の離島、喜界島の出身。


数年前に凱旋公演(?)ではないけれど、
喜界島で『走れメロス』を公演した。
島民約9000人の島で、
大きな体育館で2ステージ、
約3000人の人が観たという。
もはや、伝説。

今から10数年前、
初めてぼくが劇団に来た時、
最初に「飲み行くぞ」と声をかけて来たのがしげさんだ。
いや、もしかしたら、
「飲みに行こうか?」と声をかけて来たかもしれないが、
記憶に残るイメージは「飲み行くぞ」しか考えられない。
言わば、兄貴分的な、
そんな感じがしていた。
そうだな、まるで、ジャイアンみたいな感じ。
……もちろん映画の時のジャイアンだ。


聞くところによると、
喜界島には信号機が一つ。
すべての道路が海に通じているそうな。
少年しげさんは、
さぞやこの島の道を走りまわったのであろう。
さて、
今度の公演『道路』では、
ただ、ただ、ひたすらに歩く男。
自らが設計した高速道路を歩く。
いつの間にやら出口もなく、
行き着く場所がわからない。
歩き続きける間に、
さまざまな人と出会っていく。
思わず「飲み行くぞ」と言ってしまうなんてことはなく、
ただひたすらに歩き続ける。

なぜ、自分が歩いているのか、
わからないままに、ただ、ひたすらに……。
主人公男同様、
ぼくたちの稽古場も、
どこに行き着くかわからないままに、歩く、歩く、歩く。
何かに向かって、ただひたすらに。
いま、しげさんが、
夢中で歩く稽古場の、
その先頭を歩いている。


Ⓒ東京演劇アンサンブル/撮影:松浦範子
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

東京演劇アンサンブル:制作
日本劇団協議会:主催
次世代を担う演劇人育成公演
『道路』
アゴタ・クリストフ=作
堀茂樹=訳
三由寛子=演出

2011年
2月11日(金)19時
2月12日(土)14時
2月13日(日)14時
2月14日(月)休演
2月15日(火)20時
2月16日(水)19時
2月17日(木)19時
2月18日(金)19時
2月19日(土)14時
2月20日(日)14時

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅下車徒歩7分)
全席自由

当日=3,500円
前売一般=3,000円
前売学生=2,000円

チケットのお申し込みは、劇団事務所かHPより
http://www.tee.co.jp/ticket-web.html

東京演劇アンサンブル
TEL:03-3920-5232
FAX:03-3920-4433
〒177-0051東京都練馬区関町北4-35-17
e-mail:akira@tee.co.jp
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