a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

『桜の森の満開の下』2013公演2日目です。

2013-08-28 17:11:02 | 東京公演

写真は、昨日の公演初日、
開演直前の舞台。
見たことある3人組ですが……。


公演初日、評判も上々。
2日目も、張り切っていきましょうー。



生首1=井上みな(いのうえみな)



この度、初めて劇団の方々に加わって舞台に立つことになりました。
その上、初公演がモルドバ、ルーマニアというなんとも贅沢な旅公演!!
大きな期待と少しの不安を抱えて出発しましたが、
劇団の皆さんに温かく迎えいれていただけて、とても有意義に過ごせた二週間でした。
まず初めに驚いたことといえば、舞台・照明ともに、一から自分たちの手で創りあげているということ。
出演者が自ら軍手にナグリを持って舞台にあがっている姿を間近で見てびっくりしました。
深夜まで続く地道な舞台づくりに撤収作業。
一つの作品を上演するまでに、どれだけのスタッフの力が必要なのか……今まで用意された舞台上で照明を浴び、
自らの演目を披露するだけだった私にとって、桜の舞台は新鮮かつ、
日々舞台を支えてくれるスタッフへの感謝の気持ちを改めて考えさせられるものでした。



シビウ演劇祭では、様々な作品を鑑賞かる機会もあり、普段観ることのできないモノ、
感じられないモノを直に観て吸収することがすごく勉強になったと同時に、
“日本でこんなにたくさんの舞台をいっぺんに観たら、
いったいいくらかかるだろう?”なんて考えてしまいました。
それだけ充実した、贅沢極まりないフェスティバルでした。
生活面では思っていたよりも食事や空気が肌に合い、困ることもなく、
何より時間の流れがゆっくりで、日本で時間に追われてせかせか動きまわっていた自分を思いっきりリフレッシュ!!
今回、他国の芸術における水準の高さを知ると共に、
異国の地で、その土地の風に触れ、匂いを感じ、人々と接して、
だからこそ、いつも当たり前のように気にも止めていなかった日本の良さを再度認識することができた、そんな旅でした。
この貴重な経験は私の大きな財産となり、旅に参加できたわたしは幸せモノだな! と思っています。
ありがとうございました。





女房5=洪美玉(ほんみお)



思い出深い海外公演数々あれど、今回も強烈に記憶に残る旅となりました。
日本の場合80日以内ならヴィザなしで入国できるモルドヴァ、
韓国籍はそうでなかったことが成田で発覚。
ま、まさか……冷汗が出ました。
通訳の志賀さん、イオネスコ劇場のペトルさん、太田さん、
ブカレストでの通訳のアンドレア、そして謎の運転手、
たくさんの人の働きで、一日遅れではありますが合流できました。
みんなの顔と冷たいシャンパンで、カッカしていた脳がやっと落ち着きました。
劇団員にも心配をかけました。
仕込の一番大変な段階にいられず、負担をかけたと思います。
さて、やっと入国できたモルドヴァ。
劇場の方々があたたかく私たちを迎えてくれていることが伝わってきました。
経済的には決して豊かではない国。
でも人と触れ合うたびに、みんな気持ちが豊かで、好奇心旺盛、とにかく明るい。
ある日イオネスコ劇場の劇団員にクラブに連れて行ってもらったのだが、
大勢の若者がクラブの外にたむろして、しゃべるしゃべる。
踊りに来ているというより、しゃべりに来ている。
そこでイオネスコ劇場の劇団員アリーナのいとこと出会ったのだが、
彼は日本への憧れを熱く語っていて、私は複雑な心境だった。
経済的豊かさと、精神的豊かさは比例しない、と言うと、それは分かっている、
でも僕たちは毎日がスノーボードのようなもので、いつ転げ落ちるのか分からない、
先行きの不安をかかえている、と語った。
そういえば、イオネスコの劇団員たちも国外にアルバイトしに行くと言っていた。
短い期間でかいま見えたモルドヴァの現実でした。
仕込では若いヴィターリエの気迫に満ちた仕事ぶりが、女性陣のハートをがっちりつかまえました。
あなたがいて本当に助かった!!
と感謝すると、
照れながら「君たちのグループの仕事がすごい。たくさんのことを学べてうれしい、こちらがお礼を言いたい」
という言葉が返ってきた。
なんてナイスガイなんだ!!



ルーマニア、シビウでは私が降らせている桜かごが斜めに傾き、
目詰まりを起こしてほとんど機能しなかった。
一回目と二回目の間にロープの角度を変えたり、改善をはかったが、
スムーズにはいかず、裏方の役割の大きいこの芝居で、とても悔しい思いが残りました。
未知の国だったモルドヴァとルーマニアで実際人に出会い、得難い経験をしました。
何年もかけてわたしたちを連れて行こうと架け橋になってくださった七字さんに感謝します。






女房6=正木ひかり(まさきひかり)



初めて『桜の森の満開の下』のキャストにつき、そして、初めての海外公演。
日本での稽古は、仮設の舞台で行いました。
一体どんな舞台なのか?
わたしは映像で見たイメージを頼りに想像するしかできませんでした。
そのことで不安に思うこともあったけれど、
それよりも、早く桜吹雪の舞う舞台を見てみたい気持ちでいっぱいでした。
そうして迎えたモルドバでの私にとっての初日の公演。
皆で切った桜を籠に詰めて、いざ降らせてみると……一枚一枚はとても軽い紙が、
集まると凄く重くて、そのことを話に聞いてはいたけれど、それでも驚きました。
そんな汗だくの裏側と反して、舞台上では照明に当たって桜がキラキラと舞っている。
やっと見ることができた桜の降る舞台は想像していたより、もっと、ずっと綺麗でした。
そして、その降り積もった桜が風で舞い上がる中に自分が立ってみると、
何がなんだか分からなくなるような、不思議な感じでした。
その分からなくなっていく中で、相手の存在を必死に捉えて、そして逃げる。
感覚から体の動作への繋がりが、リアルに感じた瞬間でした。



この舞台を海外で公演することができたのは、現地のスタッフの方の大きな協力と、
心づかいがあったからこそだと思い、とても感謝しています。
現地スタッフの方との交流で、特に私が印象に残っている出来事は、モルドバでのパーティーです!!
仕込やバラシの合間でしたが、机の上に日本ではなかなか食べることのできないような色鮮やかなフルーツがどっさり。
そしてお酒もたくさん用意されていて……。
仕事中だったけれど、せっかくのパーティー楽しまなくちゃってことで、美味しくいただきました♪
他にも、こうして少しハメを外して思いきり楽しんだ思い出がたくさん詰まった海外公演でした!!





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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

公演詳細HP

東京演劇アンサンブルウwebチケットサービス
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初日日和!!

2013-08-27 14:53:03 | 東京公演



本日は絶好の公演初日日和!
(そんなものあるのか?)

当日券もございます。
いつもより少し遅めの開演時間です。
ぜひ、足をお運びください。

東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

19時半開演
ブレヒトの芝居小屋
tel:0339205232




女房7=奈須弘子(なすひろこ)



2013年5月29日から6月11日まで14日間に渡り、
「櫻の森の満開の下」の公演でモルドヴァのキシノウと、ルーマニアのシビウに行きました。
異国の地に立つと日本とは違う風に吹かれ、
今までの自分や日常のごたごたを全てリセットできるような、開放感と新しい期待感を感じます。
私の海外経験は劇団の公演以外ではないので、一人ではなく守られた中での経験になりますが、
同時に自分が日本人であることもより意識させられる場でもあります。
自分に何ができるのか、何をしていかねばならないのか、
その場にきた意味を公演することで与えられ試されます。
今回は私にとって半分日本に心を残しながら、自分は何故芝居を続けるのだろうと考える旅でもありました。
最初に行ったモルドヴァでは日本人が少ないそうで、街を歩いていると珍しそうに本当によく見られました。
遠巻きに見ていたかと思いきや、話す機会ができるとよく喋る。
ホテルのエレベーターで何度かルームキーパーの女性と一緒になり、
彼女は通じてないのもお構いなしにペラペラ話しかけ、
笑ってごまかす私の肩を豪快に抱きポンポンとたたく。



そんな人達に出会うと言葉は通じないけど共有したい、
私達の芝居を観てほしいという気持ちが湧いてきました。
街中を散策がてらチラシも配ったのですが、日本でするのとは違い配った時の反応を見るのが楽しかったです。
「櫻の森…」の始まりは豪華絢爛、緻密に手間隙かけてつくられた美しい金屏風、
日本の伝統文化が現れ、十数秒の沈黙の後に破られます。
なんというはかなさと潔さだろう!
破られることによって増す美しさ。
そして屏風を破って桜吹雪の中に飛び出す男と女。
破ること、破られること、そんな精神が私の中にも育まれたら。
モルドヴァ、ルーマニアの彼らはこの始まりをどう思ったろう…。
誰に向かってどんな芝居がしたいのか、見せたい人の顔が具体的に浮かぶのは強い動機になると改めて感じました。


途中立ち寄ったブラショフの町。



舞台監督=浅井純彦(あさいすみひこ)



モルドバのキシノウの会場は、以前ディスコかナイトクラブだった所で、
客席も固定席ではなく、舞台も基本的にはバトンはなく、
現在イヨネスコ劇場の人達が、会館としての形を整えるべく、少しずつ改造している劇場です。
イヨネスコ劇場に好意的だった前の大統領の時は、
ちゃんとした舞台と客席を持った、いわゆる普通の劇場をベースに活動していたのが。
今の大統領は、イヨネスコ劇場には批判的で、
その小屋には他の劇団が入り、数年前に今の小屋に移ってからは、
助成金も大幅に減らされ、劇団創設の時のメンバーも だんだん離れていき、
という厳しい状況の中で、今は運営しているようです。
元々劇場じゃないところだから、舞台上に昇降するバトンは無く、
そこに「桜の森の満開の下」の舞台をどうやって組むか。
下見の時、「どうしても無理ならば、他の会場を借りる事は、出来なくはないです」と言ってる目は、
「やれると言って!」のオーラがバシバシ、
返事は勿論「やります」(やれますではありません)。
照明バトンだけでなく、桜のバスケット用のバトン、人吊り用のバトンも、仮設しなければ。
やれると判断出来た裏付けは、普段体育館公演で培った技術、ノウハウ。
これが無かったら、大丈夫とは言えなかった。
今回行ってみると、1月末に下見に来た時よりも、
客席上のシーリングバトンと舞台奥のバックサス用のバトンが、増えていた。
資金がない中、少しずつでも自分達の使いやすい劇場にしていこうという、気持ちのあらわれです。
でも天井の上に人間がのぼって、電動のウィンチを数人で操作して、
バトンを上げ下げするので、まだまだ使いづらい感じでした。
僕達が、今回の公演の為に日本から持ち込んだ体育館公演用の滑車とロープ
(バトン6本分 W滑車4個、S滑車8個、鉄パイプ12本、細ロープ、雑ロープ、黒ロープ等々、
大道具をはじめ必要なもの全て、40フィートの一番大きなコンテナで、一月半かけて船で送りました)を仕込むと、
劇場の人から、なんとか、このまま残していけないだろうか、新しい同じ物を揃えるから。
と真剣に相談されました。
劇場の人たちの頑張ってる姿を目にすると、何とか残してあげたかったけど、
同じ物は向こうにはなく、日本から持ち込んだ物は、
個数も形もそのまま、日本に持ち帰らないといけないので、残すことは出来ませんでした。
お金もなく、でも自分達の工夫と、いい芝居を作りたい届けたいという情熱で、
そして何よりも、人なつっこさ優しさをもって接してくれた、
ペトルをはじめ、ウジーヌ・イヨネスコ劇場の人達に、連帯感にも似た気持ちを抱いたのは、僕だけではないはずです。
何とか力になれることがあれば。具体的な事が。何か。





舞台監督助手=尾崎太郎(おざきたろう)



『櫻の森の満開の下』は天井からの吊りものがとても多いそして大変!
桜の花びらを降らす為のバスケット、開閉する雲の絵柄の幕、役者を宙吊りにする為のワイヤー。
勝手の違う海外では大変さは倍増する。
ルーマニアでの公演会場はオクタヴィアン・ゴガ高校の体育館。
劇場ではないので吊りもののバトンは全て仮設しなければならない。
天井作業は、自走高所作業車で行う。シゲさん(松下重人)について僕も作業車に乗り込む。
運転するのは、なかなか大変。そこに現地スタッフが乗り込んできてくれる。
Mrプロッティーだ。プロッティーさんは身体は大きいが、いかつい感じはしない。気のいい巨人って感じ。
プロッティーが作業車を見事に運転するのを、シゲさんと僕が褒めると、自分の事をアイルトン・セナだと言う。
なかなかユニークなおじさんだ。



天井の梁の鉄骨に滑車を付けていくのだが、鉄骨に防寒材とそれを覆う布が張り付いていて邪魔だ。
どうにもならず、僕らは天井の布に小さく穴を開けてそこを通して滑車をつけ始めた。シゲさんが謝ると、
プロッティーは言った。
「ショー・マスト・ゴー・オン」よい舞台をつくる事が先決だ、気にするなと。
三人で滑車を取り付けた。
他の仕事とブッキングしていたのかスタッフさんが減っていくなか、
プロッティーは仕込みの最後まで付き合ってくれた。
食事も外に出ないで、一人でサンドイッチを食べていた。バラシも最後の最後まで一緒にやった。
記念に一緒に写真を撮った。
モルドバ、ルーマニアの街並みを歩いた事、それに何よりもラドスタンカ劇場の公演は忘れられない経験だった。
それとはちょっと違って、プロッティーさんの事は忘れたくない思い出だ。
「ショー・マスト・ゴー・オン」忘れないでおきたいと思う。





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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

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あっという間の……。

2013-08-26 21:15:16 | 東京公演

あす、初日です!!
写真は、今日のゲネプロ。
いつもより高く跳んでおります……ということはありませんが。

東欧公演から、ずいぶんたったように思いますが、
最後は、もう明日か、
という気分です。

今日のゲネプロも上々のでき。
初日、たっぷりの桜吹雪で、
皆様をお待ちしております。




女房4=天利早智(あまりさち)



初めての海外公演。私は海外に行くのも初めてだったので、とても緊張していました。
日本の作品が海外でどう受け入れられるのか、どんな反応があるのか、言葉はどこまで伝わるのか。
海外でなければ見ることのできないものを感じたいと思いました。
公演後のカーテンコールで沢山拍手をもらい、お客さんの顔を見たら、
不安だったことも、仕込みの大変さも、全部ふっとんでしまいました。
言葉の壁を越えて、この『櫻の森の満開の下』の舞台空間を、
そこにいる人達みんなで共有できたんだと実感することができました。
現地の人達はみな親切で暖かくて、スタッフの方々も、
仕込みとバラシと一生懸命手伝ってくださって、
お掃除のおば様が、ちらかった櫻の花びらをほうきで全力ではいてて、何だか気持ちがほっこりしました。



私がルーマニアの1ステージ目で怪我をした時、フェスの救護スタッフの方が二人来て、
そんなに大騒ぎするほどの怪我でもないのに、丁寧に手当てしてくれて、
2ステージ目が終わったあとも、「もう一度、怪我の具合を見せて下さい」とやって来たり、
戸惑ってしまうぐらいでした。
街全体がフェスティバルで、規模も大きくて、
何より芸術に対する理解や意識が日本とは違うなと思いました。
日本でもこんなフェスティバルができたら良いのに。
今回沢山の人と出会い、舞台をつくり、他の劇団の作品を観て、街を歩いて、多くの刺激を受けました。
この経験を活かせるように、今後も頑張っていきたいと思います。




生首2=町田聡子(まちださとこ)



今回の海外公演。またたくさん刺激のある旅をしてきた。
だからこそ今、またいつもの生き慣れた生活になじんでいく自分に、とてもさみしさを感じている。
今回、「生首」役として行くのは初めて。
現地での異国感をひしひしと感じながら、「女」に言葉の命を吹き込まれた首の私が、
どう無言の言葉を体現できるか、挑戦と期待があった。
一カ国めモルドバ(キシノウ)での日々は、以前公演で訪れたウラン・ウデのことを随所で思い出す懐かしい感じだった。
のんびりとした空気、白い路地と緑の多い街並み、
ボックス型の商店、カッテージチーズ。物を大事にし、シャイだけど人が好きそうな人たち。
仕込みでは初っ端からトラブルがあり心配になったが、
まだ20才そこそこのスタッフ『ビッターニア』の大大大活躍のおかげで本当に助かった。
そして公演。私は前日の仕込みで足がパンパン。
すべりにくいA舞台で足がもつれる、B舞台の牛革ですべるという嫌な想像がよぎる。
ゲネでは実際バタバタした。でも生首チームみんなそうだったんだと話しあったら不安が消えた。
本番。
やはり海外の反応は面白い。
袖中から稽古の時よりギンギンになっている女房たちの死にっぷりを見てドキドキする。
それを自分の気合いにのせ、舞台に出た。
同じ生首役のみなちゃんの気配に集中し、ウッシーの手の引力を感じながら思いっきりやった…つもり。
カーテンコールでは大きな拍手と熱い声援を受け、さすがにジーンときた。



次のシビウ公演では、いつもより白いケムリで前が見えず、舞台の芯がとれなくて焦ってしまった。
気持ちも何かばらついたまま終わってしまった気がして悔しい。
次の芝居小屋公演へ向けてその後悔をつなげたい。
他の思い出は、モルドバでディスコに行ったこと、
そこで出会った若者たちのこと、
ラドスタンカパブに入ってきたフランスのチームのライブがとても素晴らしかったことなど書ききれない。
そしてなにげに印象深いのは、シビウでの遅い仕込みを終えて劇団の女性たちと帰った時のこと。
みんなへとへとだったにも関わらず、過去の海外公演の思い出話に花が咲いて、
シビウの街灯の中で缶ビール片手に元気に笑ったりおしゃべりして帰る姿はとてもさわやかでたくましかった。
さまざまな経験をしてきた劇団活動を、この人達と共に歩んできたんだなということを深く感じさせられた夜だった。
 





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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

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あと3日。

2013-08-24 17:07:39 | 東京公演

モルドバ・キシノウの市場にて
前日の公演を見てくれた、日本語学校の生徒さんや、
ウクライナの日本文化を研究されている方と、
偶然町で出会って記念写真。


それでは、
演出補として稽古場にいる代表の旅の報告です。



演出補=志賀澤子(しがさわこ)


在ウクライナ坂田大使と

2013年6月とうとうルーマニア、シビウの国際演劇祭に参加。
同時にモルドバ、キシノウでの日本フェスティバルにも。
『桜の森の満開の下』は広渡常敏が坂口安吾の小説から戯曲を書き、演出、
1963年俳優座劇場で初演、1984年渋谷パルコパート3から現在の、屏風破りからはじまる舞台なった。
今、女は原口久美子、山賊は公家義徳、どちらも3代目。
この芝居の海外の旅は、ニューヨークからはじまり、
ソウル、ロンドン、ウラン ウデ、ベルファウスト、ダブリン、コーク…とアジア、
ヨーロッパの多様な劇場での上演だった。
出演する役者は12人、女と山賊は舞台で、他の役者は舞台裏でも息継ぐ間がないほど忙しい。
裏方専門のスタッフは15人から20人、
仕込みから本番片付けまで、すべて総がかりで舞台をつくりあげて上演する。
そういうわけで旅が終わるともう2度と『桜』の海外公演はやめてほしいという雰囲気になる。
今回も帰ってからしばらく私もボーっとしている。
本当にお疲れさまでした。以下旅の報告の一つとして。


キシノウのイオネスコ劇場前にて

行きの飛行機はすっと昼を飛ぶ。いつの間にか雲が切れ眼下が鮮やかに緑色にひろがる。
ところどころに、大きな街がみえる。
サンクトペテルブルクを見のがすまいと窓から覗き込んでいたら、思いがけず大きないつまでも続く大都会!14年前 ウラン ウデに同じ芝居をもっていったこと、10年前『かもめ』でモスクワ、タガンローグに飛んでいったことを思い出す。
ミュンヘンを経由して、モルドバのキシノウへ着いたのは夜。
そこはルーマニア語とロシア語の国だった。
1991年にロシアから独立し、モルドバ共和国になった。
そこにはソ連邦解体直後のロシア公演で味わった、崩壊した社会主義大国の香りがのこっていた。
ウジェーム・イオネスコ劇場はペトル・ブトカレウさんが政府から提供されたクラブを劇場に何年もかけてつくり直している途中。
『桜』の手の込んだ仕込みに、劇場スタッフの目は輝いた。
東京演劇アンサンブルの50年続けてきた、学校体育館を劇場にという仕事は、
世界に誇る技術をもっていることが、キシノウでも、シビウでも立証され、
アンサンブルの舞台技術を研修させたいので、舞台監督の浅井や入江をキシノウに又派遣してほしいと真剣に要望された。
社会主義ソ連が遺した街、広い通り、のびやかに育った街路樹、
戦いの勝利の女神と民衆の銅像。モスクワで5年間の演劇学校を卒業して、
キシノウに帰ってきたペトルさんは、まだ残っているソ連の体制の香りを一掃しなければ、
モルドバは良くならない、演劇は駄目になると情熱をもって語った。
その彼がこれまで来たどの日本の芝居よりも『桜』が素晴らしかったと言ってくれた。
哲学がある、ジャポニズムではない、世界の人間共通の永遠のテーマが凄い、美しい芝居だと。
仕込みの日、初日、ばらし、毎日夜になると劇場のロビーには、
白いテーブルクロスがかかった長いテーブルに、シャンペングラスが飾られ、私たちを待っていてくれた。
シャンパン、ご自慢のワイン、自家製のパリンカ、チーズやパンや木の実が並んだ。
最後、バラシの日は仕事が終わらないメンバーを待ち続けている間ペトルさんは、
キシノウで劇団をつくって、エジプト、カイロでのフェスティバルに車で参加したときの話をしてくれた。
限られた条件の中で、車で宿泊しながら自分たちの演劇の場をつくっていった若者たちの姿は、
今モルドバに旅して、夢中になって舞台を創りあげた東京演劇アンサンブルの姿、日本での仕事に重なる。
日本週間の初日として私たちを迎えてくれたのは、まさしくペトルさんの‘劇団’だったと感謝する。
初日の舞台は素晴らしかった。客席に居た私は胸が熱くなった。
今やれることしかやれない。でも芝居の1時間は、予測できないところへ役者を運び、観客の心に飛び込んでいく。
『桜』の舞台は一度走り出したら、引き返すことができない急斜面を行く、そこに作品行為が生まれる。
演出家広渡常敏が『銀河鉄道の夜』『走れメロス』と繰り返し役者を投げ込むコールサックへの道。
演出の席に座る私は、祈るしかない。
それぞれの役者の闘いを信じた。
ブラボーの声とスタンディングオベーションに全身の力が抜けた。


初日のお手製の歓迎会。

シビウに到着する前2日かけて国境をこえ、羊や馬や荷馬車のいる草原を走り、
ヤシ、ブラショフ、プラン村を通り、ホテルに泊まったり、コンビニやレストランに入ったり。
ルーマニア公国の歴史に思いを馳せながらのバスの旅。
シビウに近づくにつれて町並みや屋根が古いドイツの街づくりを思わせる。あのちょっと腫れた、半開きの眼が、屋根から覗いている家が見え始めた。シビウに着いた。
フェスティバル前日に仕込み、初日に2回の公演だ。
また2日間悪魔のように働いて、その日のうちに撤収した。
最後の公演の前には、バケツ、をひっくり返したような雨が1時間も降り、
劇場のオクタビアン・ゴガの体育館の入り口は川のよう。
そしてすべてが終わったころには、フェスティバルの初日を祝う花火があがっているのが屋根を越してわずかに見えた。
芸術監督のコンスタンチン・キリアックさんは、記念すべき20周年のフェスティバルの初日に上演することを祝福してくれた、
これほど中身の濃い演劇フェスティバルは世界にないと、殊にこの年の成功に賭けたとのこと。
たしかに昨年までの数年間とは雰囲気が違ってきている。
こわれかけた屋根や壁がきれいに修復され、
あの眠そうな‘目’が減っている。道のカフェのテントはどんな雨にもまけないように頑丈になった。
でも中心の劇場ラドウ・スタンカの役者たちが、
大劇場、小劇場、カフェ、本屋、トラムの中、テントなどあらゆるところで次々に芝居をし、
その合間には外国から来た芝居を観、
夜は劇場の隣の野外クラブで飲み、踊り、語り合う、
このフェスの中心には劇団がいるという貴重さは、まだ失われていなかった。
自分たちの公演が終わったあと、私たちもそれぞれ意欲的な海外の舞台を勢力的に観て歩くことができた。
参加したフェスティバルの全容とはいかなかったけれど、沢山の刺激をうけたと思う。
演劇の多様性と演劇人の自由、誇りが自然に顕われている。
演劇による共通言語で観客と語り合っている。
それを求め、発見しようとしている人たちが集まっている。
ダンス、音楽、大道芸、広場での大ページェント、シビウの街全体を舞台にくりひろげられている表現芸術のフェス、
その核に演劇があることが素晴らしいと私は思っている。
規模が大きくなるにつれて、たくさんのスポンサーの名前が並びはじめた。
コマーシャリズムに覆いつくされ、支配されないことを願っている。
フェスティバルのテーマの一つは、現代演劇と伝統、キシノウでもシビウでも同じ質問をうけた。
私たちは現代日本の矛盾そのものだと思う。
演劇界のエリートでない、自身を見つけられない人間が、
芝居をすることではじめて、自身の姿を知る、そんな集団ともいえる。
経済大国に生きて、そのおかげで文化庁から助成金をもらうことができ、海外公演をすることができた。
第2次大戦中の日本人の生き方を問う『堕落論』や『白痴』を書いた坂口安吾の小説による芝居『桜の森の満開の下』で、
伝統演劇のしばりから自由に山賊と女を生かすことで、現代日本、現代世界の人間を描いた。
その手ごたえはあった!



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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
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“桜”を見る、体感する。

2013-08-23 17:09:57 | 東京公演


公演そのものもさることながら、
ほんとにこの芝居は、
仕込みがたいへん。

しかも、
会場条件が……。

しかし!!
ブレヒトの芝居小屋では、
ハイクオリティなステージワークをお見せします。
そちらも、期待してください。


女房1=上條珠理(かみじょうじゅり)



モルドヴァは、国についての情報がほとんどなく、
ヨーロッパで一番貧乏な国だということくらいしか分かっていなかったので不安を抱えての出発だった。
夜中着で空港やホテルがとても寂しく寒々しく思えたのだが、
朝起きてみると、明るい日差しの中で広い道の木々や歩道に植えてある花がカラフルで、開放的な国だと感じられた。
イヨネスコ劇場の皆さんには手作り感のある親切な歓迎をして頂き、
あまり海外公演と気負うことなく仕事が始められたと思う。
本番では、日本よりも反応が素早いんじゃないか、と思うほど芝居に対するリアクションが大きく明るく、
最後には熱い拍手も頂き、良いスタートとなった。
初日に皆で行った店は殺風景で店員さんも無愛想(でもめちゃくちゃ安い!)だったけれど、
その手前のカフェでは内装や小物、制服等々メルヘンチックに凝っていた。ホテルやワイナリーも含め、
行く場所ごとに印象が違い過ぎて戸惑うけれど何だか居心地は良さそうで、
これからこの国はどんどん変化していきそうだと感じた。
そして美女がとても多かった!!



シビウに着いた時は、まだフェスティバルが始まる前だったので、街中で準備が整っていく様子を見ることができた。
メインストリートに大きな横断幕がつき、
大広場には機材がどんどん運びこまれ、セットされていく。
人々は毎年のフェスティバルにすっかり慣れている様子で、
街の経済や整備にもかなりの効果を与えているのだろうなと思った。
本番では、意外にもどう反応すればいいのか困っている様子で客席が静かだなと感じていたので、
最後に大きな拍手を頂いてちょっと安心した。
その後観劇では3本の芝居とフラメンコのショーを観たのだけど、
フラメンコは満席で立ち見も大勢いて1曲終わる毎に割れんばかりの拍手、
終演後もスタンディングオベーションが続き、身体表現だけで伝わるダンスはとても人気があるようだ。
他の演劇も含めて、言葉が分からない外国でも伝わる、楽しめる表現を工夫しているように感じた。
それにしてもラドゥ・スタンカ劇場はフェスティバルの中だけでも全く異なるタイプの芝居を何演目も上演している訳で、
何においてもレベルの高い劇団だし、それを観る力のある観客が沢山いて、
正にシビウは演劇と共に発展してきた街なのだと実感じた。
ところで私は、海外公演の時はなるべく英語ではなくその国の言葉を使おうと思っているので、
出来る限りルーマニア語で挨拶や注文などしてみたのだけれど、
割合読みやすく伝わりやすいと思ったので、もう少し勉強してみたいと思います。



女房2=富山小枝(とみやまさえ)



モルドバで公演後、交流会で日本語学校の先生とお話をした。
途中まではすごく面白くみていたんだけど、女房が殺されるところくらいから怖くなってきて夢にみそうと言っていた。
そのまま帰るのが嫌で交流会に残ったとの事。
またみたいと言ってくれた。
なかなかモルドバで日本の演劇をみることが出来ないのでうれしいと言っていた。
日本語学校の生徒たちも結構来てくれたみたい。
生徒たちは先生が知る前に公演の事をしっていて自分たちで申し込んできたといっていてたいへんうれしかった。
たくさんのお客さんが見に来てくれてモルドバで公演することが出来てよかったと思う。



シビウの街は本当にきれいで、私はすごく好きだった。
演劇祭も活気があって、日本だったらこんなこと出来ないだろうなぁと思ってうらやましく思った。
最終日にカフェでお茶をしてたらいきなり日本人のおばさんに劇場はどこですか? と話し掛けられてびっくりした。
初めてシビウの演劇祭に来て迷子とのこと。
劇場の場所を教えてあげて少し話しをしたら、
日本だと情報が本当になくてうちの桜もみたかったけど、もう終わってしまって残念といっていた。
他にも見たかったものがあったけど、その前に帰らなくてはならないからみられないと言っていた。
たしかにシビウの演劇祭について私もあまり知らなかったので、
あんなに大きい演劇祭なのに日本では知られてないんだなと思った。



モルドバもルーマニアも仕込みはやはり大変だったけど、
浅ちゃんが下見にいっていてその情報が行く前から分かっていたのはやっぱり助かった。
下見は大切だなぁと改めて思った。照明のトラブルも多かったけれど、
通訳をしてくださった志賀さんが舞台のことや照明のこともわかったので大変助かり、
通訳の志賀さんには本当にお世話になって大感謝でした。
いつも海外に行くと思うけど英語がまるっきり分からないのは辛い……。
私が少しでも英語が分かったらもっとスムーズにいくのに……なんて。
海外はいつも大変だけど、違う国の空気を吸い、ものを食べ、人と出会い。
刺激になることがたくさんありました。大変だったけど楽しかったです。みんなおつかれさまでした。



女房3=小山えみ(こやまえみ)



初海外でした。
前日まではやっぱり多少不安があったんですが、
実際行ってみると、現地の人はとても暖かくフレンドリーで、
接すれば接するほど楽しくて、気づけば不安なんて微塵もなくなってました。
モルドバもルーマニアも、土地柄、といいますか、
気候や風土が地元・北海道を彷彿とさせ、思わず「ただいま!」と叫びたくなりました。
広い大地に、小麦、ジャガイモ、とうもろこし、馬、羊、牛…まさしく北の大地です(笑)
心配していた料理も、合わないということが全くなく、どれも本当に美味しかったです。
ちなみに私は今回の旅で、ご飯を食べに行った店の「レモネード」を制覇しました。
どの店もお店で手作りしていて、店ごとに味も見た目も様々な個性があって、
それを味わうのがちょっとした楽しみでした。
旅前半のモルドバ公演は、吊り物の仕込みがとにかく大変だったんですが、
そんな大変な仕込みの中や本番後に劇場の人が手作りのものを用意して飲み会を開いてくれました。
料理はもちろん、自家製のお酒やジュースもおいしいし、
まるで家族のようなアットホームな雰囲気にとても癒されました。
そんな交流の中、
公演後に現地の方に「今まで観た芝居の中で一番素晴らしかった!」という言葉をもらえたことが何より嬉しかったです。



後半のシビウ公演は、演劇祭の初日公演のひとつとして上演しましたが、
桜かご問題に悩まされた公演でした。
今回人数がマイナスということもあり、後半の桜降らしを一人でやることになったのですが、
モルドバの時とは違い左右のバランスが取りづらく、
降らし終えたかごを見ると、かなり桜が片寄っていました。
真ん中の前後二つのかごはそれどころではなく、
降らすことすらままならないほど傾いてしまっていました。
改めて仕込みの難しさを痛感した公演でした。
どちらの公演も、それぞれにトラブルはあったものの、
スタンディングオベーションの中、無事に終了。
異国の地で見事に散ることが出来たのではないかと思っています。
今度は母国日本で、8月・夏、見事に咲き乱れ、散りたいと思います。



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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

公演詳細HP

東京演劇アンサンブルウwebチケットサービス
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桜の森の満開の下 キシノウ-シビウ-東京

2013-08-22 18:28:36 | 東京公演
いよいよ公演まで1週間を切りました。
いや、
あと5日ですね。



モルドバのキシノウでは、日本文化週間のオープニングを飾り、
また、
ルーマニアのシビウ国際演劇祭でも初日の公演として上演してきました。

旅班の旅の思い出とともに、
東京公演へのお誘いと代えさせていただきます。


男=公家義徳(こうけよしのり)



社会主義時代の名残りがそのままに感じられる都市、モルドバ共和国の首都キシノウ。
ぼくたちはウジェーヌ・イヨネスコ国立劇場で2回の公演を行った。
東京演劇アンサンブルでぼくがはじめて参加した芝居は俳優教室公演、
アーノルド・ウェスカー作『かれら自身の黄金の都市』。
人間のための理想の都市をつくろうという物語だ。
「道路は広くまっすぐに、路地はゆるやかにうねっている。
広場は思いきり大きく、街角は親しみやすい。
街の中心に位置するのは、公園、音楽堂、劇場、プール。
ダンスホール、美術館、集会所です。」
それはキシノウの都市構造そのままのような気がした。
ああいいな、と思った。
しかし、イヨネスコ劇場の代表者であり、世界的な演出家でもあるペトル・ヴカレウさんは、
すべてを変えたいと言っていた。
社会主義時代を記憶するものはすべて、と。
「でも・・・」から始まるぼくのいくつかの質問にも、彼は静かに首を振るだけだった。



1989年。ベルリンの壁崩壊の年、ルーマニアでも革命が起こる。
その時シビウの演劇人は先頭に立って銃を手にしたという。
それは社会主義独裁政権を打倒するための戦いだった。
シビウ国際演劇フェスティバルは今年で20周年を迎えた。
ぼくたちの公演はそのオープニング初日。
しかし劇場は高校の体育館。
吊りものや仕掛けが多いこの芝居を体育館でやるなんて、並大抵のことではない。
でも他に条件の合う劇場はない。俳優、スタッフともに二日がかりの大変な仕込み。
そしてそのまま本番を迎える。開演は17時と22時。終演後の撤収は真夜中の2時半を超えた。
キシノウもシビウもカーテンコールはすべてスタンディングオベーションで迎えられた。
仕込みからバラシまでのスタッフワークに現地スタッフは驚いていた。もちろんすべてがうまくいったわけではないが、
東京演劇アンサンブルらしい不器用で真っ直ぐな仕事が、多くの人たちのこころを動かしたのは事実のようだ。










女=原口久美子(はらぐちくみこ)



古い建物と緑に囲まれたモルドバの街並みは、木々の間から吹いてくる風が澄んでいて、
時間がゆったり流れているような気がしてくる。
インフラが遅れているため、下水や道路の整備などが進んでいないということだが、
ほとんど信号機のない道路では、たいていの車が止まって歩行者を渡らせてくれる。
日頃あまり見かけない日本人に優しい笑顔で声をかけてくれて、
街のあちこちでやさしさに触れることが出来た。
しかし社会主義の匂いがまだ強く残るこの国を、根っこから、
体制ごと全て変えなければいけないとイヨネスコ劇場の総監督のぺトロ氏は言う。
そしてそれは「演劇」から始めるのだと。
占領と併合が繰り返されたこの土地……。
数年前東京で観たウジェーヌ・イヨネスコ劇場の『授業』を思い出した。
「暴力」と「狂気」「支配」の構図。
自身にも他者にも社会にも状況にも向けられる“厳しい”発信。
あたたかい手作りのおもてなしで歓迎してくれた彼らの中にある強い意志の詰まった、
すごい劇場で芝居をすることが出来たのだとあらためて思った。



シビウの国際演劇祭は今年20周年。
これだけの演劇祭を続けてきたことに対する自信と誇りにあふれていた。
自分たちで創り出す。自分たちで変えていく。
ここにも強い意志が込められている。
自分たちの公演で言えば、正直悔しい思いも、もどかしい思いもしたけれど、
とにかく自分たちのやれることを誠実にやってこれたと思う。
1回目の公演が終わってすぐ、
ボランティアで私たちをサポートしてくれた谷口さんが「とても感激しました」と言って来てくれた。
なんだかとても嬉しかった。
自信の無さから恥ずかしいような思いもあったが……嬉しかった。
単純だなぁ。
たくさんの人に支えられ、この2つの国で「櫻の森の満開の下」の芝居が出来たことを本当に感謝している。
モルドバとルーマニア……。
ゆったりした心地よさと、ひりひりするような感覚と、いろんな想いが交差した貴重な海外公演だった。





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東京演劇アンサンブル公演
桜の森の満開の下

作=坂口安吾
脚本・演出=広渡常敏
音楽=池辺晋一郎
演出補=志賀澤子
照明=大鷲良一
効果=田村悳
衣裳=小木節子
舞台監督=浅井純彦
制作=小森明子・太田昭

前売一般3800円
前売学生3000円
当日4500円

全席自由
上演時間1時間(遅れると入場できません)

8/27(火)19:30
8/28(水)19:30
8/29(木)19:30
8/30(金)休演
8/31(土)14:00
9/1(日)14:00

ブレヒトの芝居小屋
(西武新宿線・武蔵関駅より徒歩7分)

公演詳細HP

東京演劇アンサンブルウwebチケットサービス
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感想――『はらっぱのおはなし』

2013-08-07 00:09:12 | 旅公演


『はらっぱのおはなし』
喜多方発21世紀シアターでの公演、
無事終了しました。

無事??
というには、
開演前に機材トラブルがあったり、
上演中に携帯の緊急速報がなったりと、
心安く、上演できたわけではないのですが、
終演後に、
いろいろな方々から、
良い感想をいただき、
素直に嬉しかったです。

演劇関係の方や、
喜多方フェスで知り合った方々から、
「やったね」とねぎらいの言葉をもらえたことも、
僕にとっては、大きな収穫です。

残すところ1ステージ。
岸和田子ども演劇祭2013での公演です。

8月10日(土)14時開演
岸和田市浪切りホール小ホール
前売=1500円
全席自由


前日まで、
下記のメールでチケットも受け付けます。
ご来場お待ちしております。
akiratee.co.jp

最後に、
東京公演での感想文の一部をお知らせします。



このような音楽劇は初めてだったのでイメージがわかなかったのですが、
思っていたよりもはるかに完成度が高く感動しました。
舞台が大きいわけではないのに、感情移入できて世界観に入っていけるのは、
やはり演技力の高さがあるからだと想います。
非常に声も通っていて素晴らしい出演者たちだと感じました。
26歳 男性


一輪車のちょうとか、上手な演技だと思いました。
なつかしい“原っぱ”の光景を思い出しました。
また、いろいろな作品を上演して下さい。
おはなしも音楽も、CGなどの効果も大切なメッセージをよく伝えて
くれてとてもよかったです。歌も演技も素晴らしかった。
56歳 男性


良かったです。
子供も(7才)楽しかったようです。
42歳 女性


おもしろかったです。
特に、ワルワルバッタの三人組が、良かったです。
オニグモの歌の途中で、出て来てふざけるところがよかったです。
チョウがきれいで、一輪車の動かし方がすてきでした。
全体的におもしろく、ゆかいなお話でした。
13歳 女性


おもしろかたったです。
虫たちがイキイキしていました。
おじいさん(?)すきです!!
17歳 女性


残すところ1ステージ!!
どうぞお見逃しなく!!
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