そんなこと信じても、信じなくてもよいけど、
とにかく巡り合わせの良い、
そんな公演となっている。
思い立って、久しぶりの俳優座劇場を予約した。
劇団の創立70年記念で、
おそらくブレヒト作品をやろう、
というくらいしか決まっていなかった。
その時はまだ、俳優座劇場が閉館されることは発表されていなかった。
それからしばらくして、
どうやらそうらしいという噂が聞こえてきて、
今回の公演となった。
俳優座劇場の貸し館最後の作品、最後の劇団となった。

2025年は、
俳優座劇場も、
東京演劇アンサンブルも、
創立70年、71年目を迎える。
この記念すべき公演の演出をお願いしたのが、
鄭義信さんだった。
僕たちは、日韓演劇交流センターという、
日韓の演劇交流の仕事を一緒にしたことがある。
韓国作品を紹介するリーディング公演の演出が、
鄭義信さんだった。
私は制作的な立場で関わり、
ちーこや、あさチャンが、その稽古場にスタッフとして通っていた。
とにかく、風通しの良い稽古場だった。
作品のクオリティも高かったが、
なんと言っても、この座組が仲が良かった。
まだまだコロナ禍であり、
その対策を充分にしながらの公演だったが、
鄭義信さんたちは、
某コンビニのイートインコーナーに並んで、
適度な距離を取って、稽古後の交流をしていた。
それを外から眺めた風景が忘れられない。
演劇は、人が人と出会う芸術だ。
鄭義信さんは、
そのことをとても大切に稽古をする演出家だった。
だから、僕たちは、いつか一緒に作品を創りたいと思ったのだ。

そして、その念願がかなって、
今回の公演へとつながった。
日程を調整した後に、
ブレヒト作品をやりたいと相談したところ、
鄭義信さんから韓国唱劇版『コーカサスの白墨の輪』の台本を渡された。
これがすごぶる面白く、
劇団の企画室も、運営委員会も、総会も、
満場一致で通過したのを覚えている。
これまで、東京演劇アンサンブルが出会ってきたブレヒトとは違う、
新しい出会いになる予感で満ちていた。
僕自身が演劇を続けている理由は、
僕たちは、どうしたら世界の戦争を停めることができるのか。
争いをなくし、
どうしたら、武力を信仰しない世界を築けるのか。
若いころに考えていた夢物語を、今も追い続けているからかもしれない。
そんなものに価値がないということを、
僕らは演劇を通して、
なんとか伝えていこうと思っているのだ。

演劇に、そんな力はないかもしれないが、
やはり、芝居を創らずにはいられない。
僕たちは、そんな芝居屋でしかないのだ。
鄭義信さんと始めたこの旅も、
いよいよ終盤に差し掛かっている。
明後日には、いよいよ初日の幕が開く。
鄭義信さんが連れてきてくれたスタッフ陣は強靭で、
初めてのことばかりの僕たちを、
おおらかに、支えてくれている。
まさに大船に乗った気持ち。
心地良い航海だ。

ブレヒトが書いた『コーカサスの白墨の輪』は、
戦乱の中、わずかな人の優しや正義や誠実さが、
小さな生命を救い、
生みの親より育ての親という、
なんとも言えない大団円で終わっていく。
この物語を、鄭義信版はたっぷりのユーモアで彩り、
ラストは、特別なエンディングになっている。
東京演劇アンサンブルが、
劇団員総出で、
この壮大な物語に取り組み、
叙事詩的演劇の代表であるブレヒト作品を、
人情味豊かな世界に描きなおした、
新しい時代のエンタメブレヒトとなった。
本来ならば、音楽劇、とつけてもよいくらいの、
30を超える久米大作さんの機知に富んだ楽曲たち。
所狭しと20人の俳優たちが奮闘します。

どうか、
僕たちのこの新しい挑戦を見逃さないでください。
3/19-23
さようなら俳優座劇場にふさわしい公演をお目にかけられると思います。
ご期待ください。
制作:太田あきら
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


東京演劇アンサンブル創立70年記念公演Ⅲ
白い輪、あるいは祈り
〜『コーカサスの白墨の輪』(ベルトルト・ブレヒト)より〜
鄭義信/作・演出
2025年
3/19 (水) 19:00
3/20 (木) 14:00/19:00★
3/21 (金) 14:00/19:00
3/22 (土) 14:00/19:00★
3/23 (日) 14:00
※★=Low Price Day
チケット(全席自由)
前売一般/4,300円
前売U30/3,300円
ペア/8,000円
Low Price Day/3,000円
当日/4,800円
お申し込みはこちら
スタッフ
脚本・演出/鄭義信
音楽/久米大作
舞台美術/池田ともゆき
衣裳/木場絵里香
照明/増田隆芳
音響/藤田赤目
振付/広崎うらん
擬闘/栗原直樹
メイク/高村マドカ
歌唱指導/吉村安見子
舞台監督/三木元太
宣伝美術/小田善久 伊波二郎
制作/太田昭 小森明子
出演
アツダク/洪美玉
グルシェ/永野愛理
シモン/雨宮大夢
浅井純彦
菊地柾宏
公家義徳
志賀澤子
鈴木貴絵
竹内茉由架
戸澤萌生
永濱渉
奈須弘子
林亜里子
原口久美子
彦坂紗里奈
福井奏美
細谷巧
町田聡子
真野季節
三木元太
出演予定だった二宮聡ですが、
体調不良のため降板となりました。
公演HP
とにかく巡り合わせの良い、
そんな公演となっている。
思い立って、久しぶりの俳優座劇場を予約した。
劇団の創立70年記念で、
おそらくブレヒト作品をやろう、
というくらいしか決まっていなかった。
その時はまだ、俳優座劇場が閉館されることは発表されていなかった。
それからしばらくして、
どうやらそうらしいという噂が聞こえてきて、
今回の公演となった。
俳優座劇場の貸し館最後の作品、最後の劇団となった。

2025年は、
俳優座劇場も、
東京演劇アンサンブルも、
創立70年、71年目を迎える。
この記念すべき公演の演出をお願いしたのが、
鄭義信さんだった。
僕たちは、日韓演劇交流センターという、
日韓の演劇交流の仕事を一緒にしたことがある。
韓国作品を紹介するリーディング公演の演出が、
鄭義信さんだった。
私は制作的な立場で関わり、
ちーこや、あさチャンが、その稽古場にスタッフとして通っていた。
とにかく、風通しの良い稽古場だった。
作品のクオリティも高かったが、
なんと言っても、この座組が仲が良かった。
まだまだコロナ禍であり、
その対策を充分にしながらの公演だったが、
鄭義信さんたちは、
某コンビニのイートインコーナーに並んで、
適度な距離を取って、稽古後の交流をしていた。
それを外から眺めた風景が忘れられない。
演劇は、人が人と出会う芸術だ。
鄭義信さんは、
そのことをとても大切に稽古をする演出家だった。
だから、僕たちは、いつか一緒に作品を創りたいと思ったのだ。

そして、その念願がかなって、
今回の公演へとつながった。
日程を調整した後に、
ブレヒト作品をやりたいと相談したところ、
鄭義信さんから韓国唱劇版『コーカサスの白墨の輪』の台本を渡された。
これがすごぶる面白く、
劇団の企画室も、運営委員会も、総会も、
満場一致で通過したのを覚えている。
これまで、東京演劇アンサンブルが出会ってきたブレヒトとは違う、
新しい出会いになる予感で満ちていた。
僕自身が演劇を続けている理由は、
僕たちは、どうしたら世界の戦争を停めることができるのか。
争いをなくし、
どうしたら、武力を信仰しない世界を築けるのか。
若いころに考えていた夢物語を、今も追い続けているからかもしれない。
そんなものに価値がないということを、
僕らは演劇を通して、
なんとか伝えていこうと思っているのだ。

演劇に、そんな力はないかもしれないが、
やはり、芝居を創らずにはいられない。
僕たちは、そんな芝居屋でしかないのだ。
鄭義信さんと始めたこの旅も、
いよいよ終盤に差し掛かっている。
明後日には、いよいよ初日の幕が開く。
鄭義信さんが連れてきてくれたスタッフ陣は強靭で、
初めてのことばかりの僕たちを、
おおらかに、支えてくれている。
まさに大船に乗った気持ち。
心地良い航海だ。

ブレヒトが書いた『コーカサスの白墨の輪』は、
戦乱の中、わずかな人の優しや正義や誠実さが、
小さな生命を救い、
生みの親より育ての親という、
なんとも言えない大団円で終わっていく。
この物語を、鄭義信版はたっぷりのユーモアで彩り、
ラストは、特別なエンディングになっている。
東京演劇アンサンブルが、
劇団員総出で、
この壮大な物語に取り組み、
叙事詩的演劇の代表であるブレヒト作品を、
人情味豊かな世界に描きなおした、
新しい時代のエンタメブレヒトとなった。
本来ならば、音楽劇、とつけてもよいくらいの、
30を超える久米大作さんの機知に富んだ楽曲たち。
所狭しと20人の俳優たちが奮闘します。

どうか、
僕たちのこの新しい挑戦を見逃さないでください。
3/19-23
さようなら俳優座劇場にふさわしい公演をお目にかけられると思います。
ご期待ください。
制作:太田あきら
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東京演劇アンサンブル創立70年記念公演Ⅲ
白い輪、あるいは祈り
〜『コーカサスの白墨の輪』(ベルトルト・ブレヒト)より〜
鄭義信/作・演出
2025年
3/19 (水) 19:00
3/20 (木) 14:00/19:00★
3/21 (金) 14:00/19:00
3/22 (土) 14:00/19:00★
3/23 (日) 14:00
※★=Low Price Day
チケット(全席自由)
前売一般/4,300円
前売U30/3,300円
ペア/8,000円
Low Price Day/3,000円
当日/4,800円
お申し込みはこちら
スタッフ
脚本・演出/鄭義信
音楽/久米大作
舞台美術/池田ともゆき
衣裳/木場絵里香
照明/増田隆芳
音響/藤田赤目
振付/広崎うらん
擬闘/栗原直樹
メイク/高村マドカ
歌唱指導/吉村安見子
舞台監督/三木元太
宣伝美術/小田善久 伊波二郎
制作/太田昭 小森明子
出演
アツダク/洪美玉
グルシェ/永野愛理
シモン/雨宮大夢
浅井純彦
菊地柾宏
公家義徳
志賀澤子
鈴木貴絵
竹内茉由架
戸澤萌生
永濱渉
奈須弘子
林亜里子
原口久美子
彦坂紗里奈
福井奏美
細谷巧
町田聡子
真野季節
三木元太
出演予定だった二宮聡ですが、
体調不良のため降板となりました。
公演HP