青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

緑濃き 大池遊園 深春や。 

2022年05月21日 09時00分00秒 | 和歌山電鐵

(走れ、たまでん@和歌山電鐵貴志川線)

通勤・通学客を乗せるだけなら決して必要ではない設えが並ぶ「たま電車」の車内。いわゆる水戸岡デザインでは木工用具とアルファベットを中心としたレタリングのデザインってのはある意味定番化していて、一部界隈からは食傷気味・・・などと言われたりもしますけども、まあ鉄道車両という制約の中で要件を満たすデザインというものも大変なんでしょうね。あと、デザインや調度品の製造メソッドがあることで設計料も安く済むとか、そういうのもあるでしょうしね。どっかの本で読んだんだけど、「観光列車を作りたいんだけど、この予算内で収めて欲しい」っていう要望の中で最大限のデザインが出来るのってやっぱり水戸岡氏率いるドーンデザイン研究所ってのが一日の長があるのだそうで。

伊太祁曽を過ぎて、列車は紀ノ川流域から支流の貴志川流域へ。夕方が迫って来ましたけど、西の国は日が長い。もうちょっと途中下車が出来るでしょうって事で、大池遊園駅で下車。駅の入口になかなか年代物の筆致の看板。「おおいけ」ではなくて「おいけ」遊園。意外な難読駅名。

大池遊園は、和歌山市・紀の川市・海南市の3市にまたがる周囲約4kmの大きな農業用のため池。「遊園」と言っても遊具や遊園地がある訳ではありませんが、池の周りにはたくさんの桜が植えられていて、春は桜の名所。池のほとりには古い料理屋さんなんかもあったりして、近郷近在昔からの憩いの場だった事が伺えます。池のほとりの貸しボート、流石にこの時間では借り出している人はおらず。

ちなみに大池遊園、真ん中を横断するように貴志川線の線路が通っていて、低い橋脚で二回大池を渡ります。貴志川線は「桜の時期の大池遊園」ってのが一番フォトジェニックなシチュエーションで、貴志川線でちょっと画像を検索するとそういう写真が一杯出て来るからぜひご覧になって欲しい(笑)。大池遊園まで乗って来た「たま電車」が帰って来ました。もうとっくに桜の時期は終わってましたけども、新緑もそれなりに清々しく。

二本目は、アングルを変えて街道沿いの高台から大池全体を俯瞰気味に。背後に見える建物は大池荘と言って、ここも歴史のある湖畔の料亭旅館だそうな。見た目に少々黄昏感があるのだけど、それなりに宿泊需要もあるのだろうか。やって来たのはチャギントン列車。運営会社の岡山電気軌道が権利を買って、岡山市電で「チャギントン列車」ってのを走らせているのでその関連なのでしょうね。大井川のトーマス列車みたいなキャラクターもの。個人的には派手なラッピングよりもノーマルな車両が好ましい人なんですけど、この路線にはその「ノーマル」がないのでそこはしょうがないのかなあ。

池の周りをぐるりと回りつつ、大池遊園の駅に戻って来た。終点の貴志方面に向かう列車は岡崎前で出会った動物愛護ラッピング。系統板を吊り下げる場所に飾られているのはいわゆるウクライナカラーというヤツか。現在進行中の事象だけに何とも言えないけど、こういうのも、時期を経て見ればいずれは歴史の記憶の一ページになるのだろうか・・・


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