青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

あゝ上野駅

2013年06月14日 23時30分22秒 | JR

(啄木碑@上野駅地上ホーム)

ふるさとの訛りなど聞こえて来なくなって久しい上野駅の地上ホーム。かつては東北、常磐、上越、信越、各方面へ夜行列車が行き交った人間交差点的な存在でありました。新幹線が開通し、名実ともに玄関口が東京に移り変わっても、その演歌的かつブンガク的な叙情っちゅーもんはまだこのホームに残滓として存在してるような気はします。6月の某日、そんな上野駅の地上ホームを訪れてみました。


欧羅巴のターミナルを思わせる、長いくし形の頭端式ホーム。今は主力を宇都宮・高崎線方面の中距離電車に奪われております。この大屋根が被った薄暗い感じが上野駅の地上ホームの雰囲気ですが、とはいえ昔はもっと屋根の面積が狭くて、階上の常磐線のところくらいまでしかなかったような気もするけどな。


カシオペア入線。リネン類交換の作業員が並んで待機する光景なぞ、もうこの駅くらいでしか見れないかもしれませぬ。運行自体にこのような専門の作業員の雇用を必要とするところにも寝台列車の衰退の一因があるのですが、目的地に着くことを目的としないカシオペア型の寝台列車に関してはJR九州に続いて東日本も追随の動きを出してきたみたいで、これは素直に喜んでいいのかもしれませんな。


そして北斗星入線。青函トンネル開通により誕生した北斗星も、あれから四半世紀。全盛時には1・3・5号に臨時の81号・83号+開放B寝台の特急エルムなんてーのもありましたな。プラチナチケットと言う呼び方がふさわしい人気を博した北斗星ですけど、実際使用されている24系客車の煤け方はちょっと悲しくなるくらい。車内もどう見てもくたびれた場末のビジネスホテルのようで、新幹線の函館延伸とともにその役目を終えるんだろうなあと言う事が残念ながら容易に想像出来ます。


上野から尾久への推進運転に備えてエンド交換。カマはこないだパーイチからEF510に取っ換えたんできれいなんだけど、どうせ朽ち果てて行くのならそのままパーイチに牽かせとけっつー気もしないでもないな(笑)。上野から機関車交換なしで青森まで走ると言うロング運用に耐えられなかったらしいが。


いずれにしろ、寝台列車がまさしく枕を並べてホームにいるというこの上野駅の朝の風景自体が貴重なもの。
朝のラッシュが終わり、人気の少なくなったホームに到着する寝台列車。到着し、扉が開き、荷物を持っていそいそと下りてくる乗客を包む「うえのぉぉぉぉぉぉ~ うえのぉぉぉぉぉぉ~ ご乗車、ありがとうございましたぁぁぁ…」と言う駅員肉声のアナウンス。これも伝統なのでしょうね。どこかに故郷の香りを乗せて、入る列車のなつかしさ。今でも上野は心の駅でありつづけているようです。
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