青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

森宮星夜

2019年04月29日 17時00分00秒 | 飯山線

(星降る北信の夜@森宮野原駅)

真夜中に到着した森宮野原の駅。VOITURE AMITIE’のロゴを纏い、2年に亘り飯山線のシンデレラ・ボーイとして活躍したこの塗装。同じ飯山色に塗装されていた僚機であるキハ110-231が検査入場によりあっさりと一般色に戻されたとの話を聞き、233が入場する前に最後のお別れを伝えに行って来ました。関越の湯沢ICから十二峠経由津南方面。勝手知ったる北信への道、ここを通るのも何度目だろうか。前日の最終列車172Dで森宮野原に到着し、翌日の始発列車1123D(長岡行き)に充当される飯山色のキハ110-233が、星空の下で佇んでいました。

すっかり雪が消えたとはいえ北信の夜はまだ冷える。気温は2~3℃程度だったろうか。ひとしきり夜間撮影を愉しんだ後、クルマの中で毛布をかぶってマルヨしたんですけど、さすがに寒くて寒くてあんまり眠れなかったなあ。冬季には降雪対策もあって長野まで引き上げてしまうので、ここでの夜間滞泊は行われないんですけど、寒いせいか飯山色も一般色も一晩中ディーゼルエンジンをかけっぱなしのアイドリング滞泊。駅の周りには少なからず住居もあるのだけど、近隣住民から苦情とか出ないのだろうか(汗)。

夜の海底のような森宮野原の漆黒の夜ではありますが、ホームの水銀灯に飯山色のカラーリングは実によく映える。それぞれ別の方向から来て、それぞれもと来た方向に戻って行く森宮野原の夜間滞泊列車。翌朝までの束の間の休息である。森宮始発の列車時刻は、長岡行きがAM5:37、長野行きがAM6:14と存外早い。

「そろそろお前も、俺たちの色に戻されちゃうんだってな。」
「ああ、みんなが俺にカメラを向けてくれて、この2年間スター気分だったよ(笑)」
「もうちょっと、この色でも良かったんじゃないの?」
「・・・魔法はいつか解けるもんだろ。」

耳を澄ますと、真夜中のキハたちの語らいが聞こえて来るようです。
我々を魅了した魔法の塗装は、僅か2シーズンのシンデレラ。
夜の12時の鐘が鳴る前に・・・


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