フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

伸び(nobi)

2021-06-28 08:48:23 | Weblog
「伸び」という文集がある。中学3年生の時に1組の担任だった大野先生(故人)がつづった1年間の日誌だ。生徒に語りかける先生の心情や与えるべき希望や願いが当時の時代と共に書かれている。先生は英語の教師であったけれど洋画家でもあったからいく分教師というより芸術家の視点でクラスという集団を捉えているみたいに思う。これはNo.9なんだけど生徒の文集でもあり先生の文集でもある。卒業していく生徒へ何とか自分の思いを伝えたいとガリ版に向った姿が思い出される。僕は5組だったからこの文集をもらうことはなかったが日本画を描く同級生のユミちゃんが何故か手元にあると持って来て見せてくれた。

僕はてっきり生徒だけの書いたものだと思ってたから
パラパラとめくって
あとがきだけ読んで返したっけ
そしたらユミちゃんが
全部読んで感動したっていうから
フ~ンと思ってたけど
いままた改めて読めというのかな
偶然のことだけど手元にある
読むと先生の息吹というか
熱情が迸っていて
先生ってありがたいなと思った
「この文集には、そののちの三の一のすべてが含まれているはずです
今までの文集と合わせて
どうか大切に持っていてください
そして隅々まで目を通して
お互いがお互いを大切にしあえる何かに
していってください
ほんとうにいろいろとありがとうございました」
一九九六年三月十二日 おおのいちろう
で終わってた。
クラスのほとんどがもう
失くしてしまっただろうな
だが1冊はここにある
そして僕の周りで復活する
いつか
自分を悔い嘆くきっかけとなったと
考える力を与えてくれてたんだと
僕は涙ながらにその文集を読んだ
先生の喜ぶ顔が見えた




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« sympathize | トップ | du temps perdu »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事