映画と本の『たんぽぽ館』

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僕が愛したすべての君へ

2023年12月02日 | 映画(は行)

母と共に暮らすことを選択した少年

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「君を愛したひとりの僕へ」のもう一対のアニメストーリー。

両親が離婚し、母と暮らす高校生、高崎暦。

ある日、クラスメイトの瀧川和音から突然声をかけられます。
自分は85番目の平行世界からやって来た。
そしてその世界で、自分と暦は恋人同士だった、と。

突然のことに戸惑ってしまう暦ですが、そんな和音にいつしか惹かれていきます。
そのまま付き合いを進め、同じ研究者の道を歩み、結婚した二人ですが・・・。

「君を愛したひとりの僕へ」では7歳の時に両親が離婚し、
父と暮らすことを選択した暦。
そして本作では同じ時に母と暮らすことを選択した暦。
大きく二つの分岐点で変わってしまったふたりの人生を描き出しているわけです。
同じ「暦」でも名字が違うのは、
母と暮らすことになって、母方の姓に変わったからなんですね。

それで本作は始めの方、暦と和音のラブストーリーになっていて、私はそこのところが好きでした。
ちょっとツンケンしている和音が、だけど乙女でかわいらしい・・・。

それで本作は、意外なことにほとんど“栞”が登場しません。
冒頭で、あの交差点にたたずむ例の“栞”と、
年老いて体も衰えた暦が出会うシーンがあるのみ。
そしてその答はラストシーンで明かされますが・・・。

いやあ、正直私はこの平行世界の入り込み方について、
なにがどうなってそうなっているのか、よく分かりませんでした。
雰囲気は伝わりましたが・・・?

それにしても結局どの平行世界に生きるにしても、
正解というのはないのだなあ・・・と思います。
こちらで愛犬が死んでしまって、あちらの世界へ行ってみれば、
犬は元気だけれどおじいさんが亡くなっていた・・・。

耐えがたい悲しみや不幸を避けるために別の世界へ行ったとしても、
そこでもいつかはまた同様なことが起こる。
どんな選択をしようとも、いいことばかりで埋め尽くすことはできない。

時の流れの果ての死の間際に「いい人生だった」と思えればラッキー、
くらいのものかもしれません。

今回は、宮沢氷魚さん、橋本愛さん、蒔田彩珠さんの声を
それと意識しつつ楽しみました!

 

<WOWOW視聴にて>

「僕が愛したすべての君へ」

2022年/日本/98分

監督:カサヰケンイチ

原作:乙野四方字

出演(声):宮沢氷魚、蒔田彩珠、橋本愛、田村睦心、水野美紀、余貴美子、西岡徳馬

 

(2作の総括として)

パラレルワールド堪能度★★★★☆

二作の絡み合い度★★★★★

満足度★★★.5



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