出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

最初の頃の苦労

2005年03月01日 | 注文納品
なんやかんやで、見本納品が終わる。印刷屋から、どさっと本番納品(委託納品)も終わる。

ところで皆さん、気に入った商品が発売中止になることってありませんか? 私の場合、ラーメンの「マダム楊」って好きでしたね。中華三昧に負けて消えたと言われてますね。あとビールはサッポロが好きなんですけど、あの会社、宣伝下手で、美味しい新商品もあっという間に消えて、ずっと飲めるのって黒ラベルぐらいです。

本は、廃刊とかもあるけど、他の商品に比べれば寿命が長いんじゃないでしょうか。ずっと前に出たベストセラー、それもそのときだけ流行ったと思っていた本でも、版元に問い合わせるとちゃんとあったりする。印刷した残りですかね?

で、そういう本は、当然本屋にはないけど、取り寄せできる。が、そういう本は、取り寄せてから手元に届くまでに、10日も2週間もかかる。ひどいときは1ヶ月。出版始める前は、私もマジで怒ってた。

さて、大きい出版社や昔から良い本を出している老舗だと、毎日「なんらかの」取り寄せがいくつか来て、それをまとめて納品に行く。3年前に出した「なんとか大全」と2年前に出した何とかと…という感じか。

つまり、月に1回日本全国のどこかから取り寄せ注文がある本が、あれこれ30冊あれば、全部合わせると月に30冊。仮に注文納品を週1回してる出版社なら、1回7冊なわけだ。

で、うちは1冊だ。月に1回日本全国のどこかから取り寄せ注文があるとして、1冊。月に1冊・・・トホホ。さすがに新刊だからもっと多いが、少ないことに変わりはない。

上に書いたように取り寄せの遅さにむかついていた人間としては、なるべく早く納品してあげたい。とりあえずうちから取次まで持っていけば、あとはどうにかなる。大流通の流れに乗って、すぐに届けられるはず。

出版業は新人、まして本屋サイドのことは何も分からん。取次をはさんだ向こう側の世界だからね。
となると、一所懸命納品に行くわけですよ。1冊持って。

ちなみにトーハンは飯田橋と江戸川橋の間くらいにある。言ってみれば、東京の、まあ真ん中です。うちも真ん中のはずれ(変な言い方だが、辺鄙ではないという意味)にあるので、まあ、気にならない程度の距離。

日販! すごい遠い、これが。事務所は近いけど。そりゃ、土地代の高い東京で、倉庫や配送センターみたいなデーンとした施設ってあんまり都心にはないよ、どの業種も。けど、トーハンと比べて、エライ遠い!

そこに一所懸命納品に行くわけですよ。1冊持って。


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