出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

取次搬入日、その2

2008年04月10日 | 注文納品
忙しいというより、「忙しい感」に振り回されているような気がする。原因はわかっている。今は著者の原稿を待っている状態で本作りをしていないからだ。ただの営業期間と呼べるだろう。営業が苦手なことは前から自覚していたが、あまり張り切りすぎてもよくないようだ。

ここでいう「張り切りすぎる」とは、「実際に張り切って営業に飛び回る」とはほど遠い。やらなきゃやらなきゃと焦ったり、「でもやりたくない、でもやらなきゃ、でもやりたくない…」というどつぼにはまるだけ。で、その結果ストレスを溜め込んで他のことに支障を来してしまう。

私はほとんどストレスなんか感じないタイプだが、「やりたくないことをする」→「息抜きしたくなる」→「あっ、ダメだ。逃げてないでちゃんとしなきゃ…と、やりたくない仕事に戻る」の繰り返しは、効率という意味では最悪だ。

そうでなくても忙しい。棚卸しでさえ、やっぱり発刊点数が増えてくるとそれなりに作業量は増える(当たり前)。大阪屋との取引が始まったおかげで、ちょっと「いつも通りじゃない」感覚もある。搬入も時間かかるし、計算書も作らないといけない(今までは数字の確認目的の売上管理だけだった)。おまけに決算だ。・・・というわけで、常にバタバタ感が抜けない。

今月末には待っている原稿が上がってくるので、なんとか営業に目処を付けて決算も終わらせて、編集に集中したいところだ。というか、そのときを楽しみにしないと、やってられない。

話変わって、ある書店の方と話していたら、新しい誤解に遭遇した。誤解というか違う見方というか。

曰く、大手出版社では搬入日と言えば「取次に搬入される日」だが、中小は共同流通業者への搬入日だったりするので、書店に届くまでの日数にサバを読む、という。私が知り合いの出版社から聞いた話では、「流通倉庫へ出荷連絡して、翌日取次に搬入される」という。翌日かどうかは契約次第だろうが、書店に答える搬入日は取次に搬入される日だと思う。

その書店員さんによく話を聞くと、「流通倉庫で荷物がたまらないと延びるらしく、版元が答える搬入日をそのまんま信じない」という。客注などからの経験則だろうから、「中小はサバを読む必要がある」というのは、まんざら間違いではないだろう。

本屋のバイトで大手版元の搬入日は1週間後と知って、ちょっと大丈夫と感じた。いや、早く納品したいとはもちろん思っているが、うちみたいなチンケな出版社でさえ比較的早いこともある。けれども、多くの書店が「中小は・・・」と一括りに感じているとすると、なかなか難しい問題だ。

この前読んだ『石塚さん、書店営業に来ました』に、「納期が長いか短いかというより、何日後に入るということがハッキリしていれば、書店としても対処の仕方もある」というようなことが書かれていた。本の流通という大きな観点では、業界全体での努力ってものはあるだろう。

けど、「うちは搬入日と言えば、私が持ってく日ですよ。今日と言えば本当に今日取次に入りますよ」みたいなことは、ちょっと知ってもらいたい気がする。かといって、注文電話をくれる本屋さんも忙しいだろうし、いちいち解説するのも変だろう。ま、いいか。

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