出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

出版社になりたい人たち

2009年06月18日 | 出版取次口座の取得
最近、「出版を始めたいのだが会ってほしい」というリクエストがすごく多い。相談に乗ってくれとか、話を聞いてくれとか、実際どうなんだとか、それぞれ微妙に違うのが面白い。

うちはひょんなことで大手取次の口座がとれてしまったので、これから書くことは一部の方々からとてつもない反発を食らうのは承知している。が、最近の皆さんの訪問でちょっと考えたことを書く。

まず、著者なら著者でいいんじゃないかということ。他の出版社から本を出したり自分で手売りしてきた人たちのケースで、好きなように書きたいとかもっと売れるとか、出版社になりたい理由はいろいろだ。

私は自分で本を書いたとき、版元より絶対ラクだと思った。今、製造原価の締める割合は上がってる(初版部数の関係)し、流通コストもかかるので、版元の取り分ったら、2割、よくて3割じゃなかろうか。印税が1割とすると、対して変わらないではないか。で、そのたかだか1割から2割の違いのために、版元がしなきゃいけないことを考えたら、著者のほうが絶対いいと思う。

実際、取次に年10冊新刊の出版計画を出したとして、どうやって「書いて、売って」いくのだろうか?

そんなに、自分が書きたいように書きたいんだろうか? 売れたかどうかってのはある程度結果論的なことでもあり、版元の言うとおりにしていなかったらどういう結果になっていたかってのは、わからない。でも、こういう人たちは、自分で書きたいように書いたらもっと売れたと思っている。で、それは著者をしている限りわからないことなんだろうけど、かといって、みんなが出版社になればいいのにとは思わない。好きなようにすればより売れたケースもあったかもしれないけど、きっと「いつもそう」ではないと思う。

あとは、「大手で門前払いだったので、今週XXX(小さい取次)に行ってみる」という人たち。中に、「XXXに言ってみたが、トーニッパンから取ってくださいと言われた」という人もいて実際はよくわからないんだが、そりゃそうだろうと思う。

大手以外は業界じゃないという意味ではなくて、読者や書店のことを考えたら、ある程度仕方ないと思う。売る気満々で新聞広告の予約をした人がいたが、お客さんが新聞を見て書店に行って、書店が「取次経由で仕入れられない」とわかったら、どうしてもらうつもりなんだろうか。

で、なぜこういう人たちに対して、「そんなに出版社になりたいか」って気分になってしまうかというと、みんな「自分の会社が出版社になること」に異常にこだわるからである。読んでもらうということを考えたら、違う道もあるのに…と思う。

でも、「どうしてもらうつもり」に対してきちんと対策を練っている(あるいは短期的改善プログラムが存在する)のであれば、それぞれ頑張ればいいと思う。私にはできない「直取引でWINWINを実現する」とか、そういうことだが、でもホント、なんでそんな苦労したいのか、わからない。

2 コメント

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質問です (しげもり)
2009-07-02 10:29:01
はじめまして。
検索でここにきました。
おもしろいブログなので、
実際どのような本を出されているのか、とても気になりました。
差し支えなければ、教えてください。
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しげもりさん (タミオ)
2009-07-22 17:55:53
興味を持ってくださってありがとうございます!
しばらく会社のHPアドレスを晒しておりましたが
伝わっていることを期待して、本日削除させていただきました。
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