出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

ベストセラーへの道(半歩)

2006年02月06日 | 出版取次口座の取得
うちは出版を始めるときに、トーハンと日販で口座を開設している。

当時、「トーニッパンでOKなら、他は全部数珠繋ぎ」と聞いたので大阪屋もあたったが、断られた。「数珠繋ぎなんてウソじゃん」と思って、他にはあたらなかった。

ちょっと経ってから、うち向けだと誤解して地方小出版にアプローチしたが、撃沈された。

その後、大阪屋から複数注文が続いたときに、電話をくれた人から「口座開設すれば?」と言われた。じゃあってなもんで行ってみたが、やっぱりダメだった。最近では、そういう電話には「申し込んでも断られるので…」とハッキリ言うようにしている。複雑な反応が返ってくるのがおかしい。

ところで最近、ベストセラーになった本とその理由みたいな本を、数冊読み返した。前回読んだときは、どういう企画でどういう時代背景で…ということしか頭に入らなかった。が、今回は、「配本してみて、売れ行きがどうのこうのだったので、どうこうして、読者層が広がって…」みたいなことばかり気になった。

大きなところは、全国の書店での毎日の売上データがあるだろうし、販売戦略も常に考えているだろう。うちの場合は、何もわからないでヒットを逃したりするのかなと、ちょっと考えたりした。

ひとつ気づいたのは、やはり「初回の配本数が多くて、売れそうだったらすぐにまた配本して、何万部達成と声高らかに宣伝する」本が、ベストセラーになるということ。

うちは採算分岐点がめちゃくちゃ低いし、「この本で勝負!」というような状況になったことがないので、ベストセラーということを今まであまり気にしたことがない。千冊より2千冊、2千冊より3千冊って感じで、「より売れれば」嬉しいわけであって、最初から大きく狙うということはない。

ただ今後の課題として、そういうことも考えたいし、考えたいから、前回とは違う点を気にしながら読んだのだと思う。

つい最近あるライターさんから自著をもらったんだが、そこにも「最初の頃の書店での露出が大きいとよく売れる」と書いてあった。ちなみに、何冊も出して累計が百万部を超えるという売れっ子ライターさんである。

やっぱりな~と思ったが、取次は過去の実績で配本数を決めてくる。始めた頃よりは返品率も下がったんだが、みそっかす版元には変わりない。突然「この本は大々的に売りましょう!」ってな話にはならない。

しょうがないから、トーニッパンは地道な努力を続けるとして、取次を増やすかと考えたりしていた。最近つきあっている印刷所にも、「それだけで初回配本数が違いますからねー」と言われていたせいもある。

と、太洋社からTRCの注文が入って、これを機会に…なんて話が出てきた。大阪屋の件があるので、「話=口座開設」でないことはよーくわかっている。

話はそれるが、TRCの注文に関しては、TRCから直接来たりトーハンから来たり、TRCから注文が来たらトーハンから文句が来たりで、よくわからない。それにしても太洋社から来るのは初めてだ。またトーハンから文句を言われるんだろうか。

ともあれ、過去の電話注文受付ノートを調べてみた。当たり前だがトーニッパンが多くて、大阪屋と太洋社が同じくらい。ただ、大阪屋はトーハンの「おみくじ棚」に入ってる短冊もある。それを考えると、太洋社は4位。ちなみに栗田はほんの少々の電話(書店から直接)注文があって、中央社は電話はない代わりに「おみくじ棚」にほんの少々の短冊といったところだ。

一瞬、こんなこと書いていいのかと思ったが、あくまでもうちの取引高の開示だから問題なかろう。

というわけで、新取次口座は楽しみだし、TRCのストックブックスに選ばれたというわけで、(前回書いた)オンライン書店への営業にも身が入る。

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