原題:『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』
監督:福田雄一
脚本:福田雄一
撮影:工藤哲也
出演:鈴木亮平/清水富美加/柳楽優弥/ムロツヨシ/水崎綾女/片瀬那奈/安田顕
2016年/日本
ヒーローの変態度の許容範囲について
前作のヒットで多くの予算がついたおかげもあり、CGのクオリティーが格段に向上し、日本版「スパイダーマン感」が色濃い作品に仕上がってはいたのだが、本作は前作『HK/変態仮面』(2013年)を超えるものにはなっていなかった。一番の問題は色丞狂介が悪を倒すために変態仮面に変身する際に使用するパンティを姫野愛子が返してもらおうとする動機である。前作は変態とヒーローの間に挟まれた主人公の苦悩が上手く描かれていたのだが、本作において「変態仮面は変態であるが自分は変態ではない」というロジックが納得できないとしても、実際に強盗を捕まえることに貢献しており、少なくとも他の女性のものではなく自分のパンティを使っているのだから、愛子がどうしてそこまで頑なにパンティの返却を求めるのか理解できないのである。逆に言うならば本来なら他のヒーロー同様に色丞狂介は自身の正体を明かさないように活躍しなければならないはずなのではあるが、まさかこのネタで続編を制作すると想定していなかったのだと思う。
分かりやすく例えるならば、三池崇史監督の『ゼブラーマン』(2004年)は面白かったが続編の『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』(2010年)にはがっかりした感じと似ている。基本的に「出オチ」の作品はよっぽど脚本を練らないと前作を超えられないということは証明されたのである。『モテキ』(大根仁監督 2011年)の派手な神輿やNHKの『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』の「無敵の男」の引用など、いずれにしてもそんな真面目に観るようは作品ではないということは分かっているつもりなのだけれど、前作で怪演を見せた片瀬那奈の出番が少なかったことも不満として残ってしまう。