MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レヴェナント:蘇えりし者』

2016-05-29 00:05:49 | goo映画レビュー

原題:『The Revenant』
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
脚本:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ/マーク・L・スミス
撮影:エマニュエル・ルベツキ
出演:レオナルド・ディカプリオ/トム・ハーディ/ドーナル・グリーソン/ウィル・ポールター
2015年/アメリカ

「蘇えりし者」とは誰なのか?

 このような単調なストーリーで緊張感が途切れることなく観客に観せられる監督の力量は大したものだと感心してしまうのであるが、この「西部劇」の復讐譚には既視感がある。
 例えば、馬の扱い方などは『アンドレイ・ルブリョフ』(1967年)、一瞬、女性が浮遊しているシーンは『鏡』(1975年)、そして主人公のヒュー・グラスが亡くなった妻の亡霊を見るシーンは『惑星ソラリス』(1972年)と、本作はソ連の映画監督であるアンドレイ・タルコフスキーが作り出したイメージととてもよく似ており、そういう意味においてはリドリー・スコット監督作品のイメージをつなぎ合わせて撮った『テラフォーマーズ』(三池崇史監督 2016年)と制作スタイルは同じなのであるが、本作にはただ引用したという以上に「原作」を超えるクオリティーの高さを感じる。
 穿った見方をするならば、イニャリトゥ監督は、とかく眠気をもよおすタルコフスキー作品に対する「批評」として敢えてタルコフスキー監督同様に上映時間156分という長時間の本作を撮ったのではないだろうか。


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