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 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ヒーローマニア-生活-』

2016-05-13 00:23:59 | goo映画レビュー

原作:『ヒーローマニア-生活-』
監督:豊島圭介
脚本:継田淳
撮影:神田創
出演:東出昌大/窪田正孝/小松菜奈/片岡鶴太郎/山崎静代/船越英一郎
2016年/日本

本来の「ヒーローマニア」について

 タイトルに注意しておきたい。本作は「ヒーロー」の話ではなく、「ヒーローマニア」たちの話である。「ヒーローマニア」とは、例えば、5年間働いていた会社で経費の使い込みがバレて3年前にクビになって以来コンビニエンスストアでアルバイトをしている中津秀利や、下着泥棒の土志田誠や、情報収集能力だけは過剰に持っている高校3年生の寺沢カオリや、妊娠した娘と産まれてくる孫を心配するあまり自作の金づちの兵器で若者を襲撃しているサラリーマンの日下孝蔵など、要するに自分のことを棚に上げて「悪者」をつるし上げてヒーローを気取る者たちである。
 そのような者たちに近づいてくる者も「ヒーローマニア」であり、実際に、宇野正は4人と共に『ともしび総合警備保障』なる低料金で警備をする
会社を設立するのだが、彼らはそもそも何が正義で何が悪なのかが分からなくなっていき、会社は分裂してしまうのである。
 だからラストにおいて、中津は自分が働いているコンビニで行われている小さな悪行を正すことで大きな犯罪を未然に防ぐことから始める。それが本物のヒーローではない生活に密着した「ヒーローマニア」としての正しい振る舞いなのであろう。
 それにしても東出昌大の演技はどのように評価するべきなのだろうか。先日放送された『精霊の守り人』というNHKのテレビドラマではタンダというキャラクターを演じていたが、本作のニート役と演技が変わったようには見えないのである。それはおそらく『ROAD TO HiGH&LOW』(久保茂昭監督 2016年)でスモーキーというヤンキーを演じ、『64(ロクヨン)』(瀬々敬久監督 2016年)で日吉浩一郎という引きこもりの元科捜研研究員を演じた窪田正孝が、本作では下着泥棒役を器用に演じ分けていたから余計にその変化の無さが目立ったのであろう。


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