原題:『Captain America: Civil War』
監督:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス/スティーヴン・マクフィーリー
撮影:トレント・オパロック
出演:クリス・エヴァンス/ロバート・ダウニー・Jr/スカーレット・ヨハンソン/ドン・チードル
2016年/アメリカ
ヒーローたちが内輪もめする原因について
驚くべきことに本作はメインテーマが『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(ザック・スナイダー監督 2016年)と同様に「内紛」であり、ポスターまでそっくりである。おそらくテーマが被った要因は時代の空気を反映したというような高尚なものではなく、今年のアメリカの大統領選挙に便乗したと捉えるべきであろう。
それでも作品自体のクオリティーは「マーベル・コミック」のキャラクターを新たに動員した甲斐もあって本作の方がギャグやユーモアも豊富で断然面白い。キャプテン・アメリカとトニー・スタークは彼らが戦う度に被害を被る一般市民に対する対策として国際連合の管理下に置かれることになるのであるが、その案を素直に受け入れるトニー・スターク側と、それでは敵に対してフレキシブルな対応が出来ないというキャプテン・アメリカ側が対立することになる。このように説明するとトニー・スターク側が保守的で、キャプテン・アメリカ側が革新的に見えるが、実はトニー・スタークは自分がアイアンマンであることを公にするなど絶えず「ヒーロー」のあり方を模索しており今回もその一環であるのに対し、キャプテン・アメリカは幼なじみのウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズを救うという個人的な行動が制限されるという保守的な理由で組織に属することを拒否しており、なかなか状況が入り組んだまま結論など出るはずもなく続編を待つしかないのである。