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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『凶悪』

2013-09-25 00:04:29 | goo映画レビュー

原題:『凶悪』
監督:白石和彌
脚本:白石和彌/高橋泉
撮影:今井孝博
出演:山田孝之/ピエール瀧/リリー・フランキー/池脇千鶴/白川和子
2013年/日本

「常識人」の限界

 主人公の藤井修一は所属している雑誌『明朝24』の女性編集長の芝川理恵に獄中の死刑囚である須藤純次から届いた手紙を託される。面会の際に、須藤から、判決を受けた事件とは別の、3件の殺人事件の首謀者である「先生」と呼ばれている不動産ブローカーの木村孝雄の過去を調べて記事にして欲しいと懇願された藤井は編集長の制止も無視して夢中になって調査することになる。
 本作の秀逸さは、付き合わされている舎弟の五十嵐邦之や日野佳政はともかく、メインの木村と須藤が実に楽しそうに人を殺していくのとは対照的に、その殺人事件を追っている藤井は認知症の母親の和子を巡って妻の洋子と口論が絶えず、子どもを作る暇さえ与えられないことから洋子から離婚届けまで突きつけられるほど終始暗いままであることだろう。しかし家庭を犠牲にしてまで暴いた殺人事件のスクープ記事が藤井にカタルシスをもたらすことはない。何故ならば死刑囚であるはずの須藤はキリスト教の洗礼を受け、俳句や習字を習ったりして刑務所内でも毎日を楽しそうに生きているからである。さらに木村に対しては藤井は複雑な思いがある。藤井が木村に極刑を求めていた理由は、土地は持っているがもはや「役立たない」老人を、時には家族の同意まで取り付けていとも簡単に楽しく殺すことが出来たところにある。それは実は藤井自身が認知症の母親が存在しなければ子供を作って妻と仲良く暮らすことが出来るはずで、エクスタシーを感じながら老人を殺せる木村を内心羨ましく思っているのだが、老いて使いものにならないからといって母親を殺すわけにはいかないという社会常識を何としてでも木村にも共有させたい。木村に対する死刑は自分の本心を「誤魔化そう」とする唯一の手立てなのであるが、そんな藤井の本音を知ってか知らずかラストに藤井に微笑みかけて面会所を後にする死刑を免れた木村を前に「常識人」の藤井はなすすべが無いのである。高齢化社会において、人生を楽しむためにはとりあえず老人を殺すことであるという恐ろしいメッセージが隠されている傑作である。


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「さらば青春の光」の「ハーメルンの笛吹き男」

2013-09-24 00:07:39 | Weblog

かもめんたる、「キングオブコント」第6代王者に!(サンケイスポーツ) - goo ニュース
アルコ&ピース受精ネタに視聴者から苦情(日刊スポーツ) - goo ニュース

 「かもめんたる」が王者になったことは妥当だったと思うが、全体的に大声を出した者勝ちと

いう傾向があったような気がする。特に「天竺鼠」の2つ目のコントが高得点だったことは納得

出来なかった。TKOも残念な結果で、ベテランなのだから2つ目にもっと良いネタがあった

はずなのだが、どうして番組生放送ハプニングのネタを選んでしまったのか、やはり三谷幸喜

が言うように「キングオブコント」は引退したほうがいいように思う。その中で感心したネタが

「さらば青春の光」の2つ目の「金持ちにおもねる男」のコントで、金持ちが取り出したオカリナ

に対してその価値が分からない男が、金持ちが吹く聞こえない笛の音に合わせて踊らされて

外に連れ出されていく有様は、おそらく金持ちが全て把握した上で、男をからかっているように

見える。これは「ハーメルンの笛吹き男」の翻案として素晴らしい出来だと思ったが、点数が

伸びなかったのが意外だった。


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『怪盗グルーのミニオン危機一発』

2013-09-23 23:06:49 | goo映画レビュー

原題:『Despicable Me 2』
監督:ピアー・コフィン/クリス・ルノー
脚本:シンコ・ポール/ケン・ダウリオ
出演:スティーヴ・カレル/クリステン・ウィグ/エルシー・フィッシャー/ベンジャミン・ブラット
2013年/アメリカ

キャラクターとストーリーのギャップについて

 観賞後の感想は、前作『怪盗グルーの月泥棒 3D』(ピエール・コフィン/クリス・ルノー共同監督 2010年)のレビューに書いたことと変わらない。グルーとミニオンのキャラクターに頼りすぎてストーリーは相変わらず面白くない。例えば、グルーが女性に対して奥手になった原因は、学校で女の子たちに嫌われたトラウマがあるからなのだが、そんなグルーの目の前に美人捜査官のルーシー・ワイルドが現れ、結婚するまでのその紆余曲折が単純すぎてグルーがトラウマを克服したという説得力に欠けると思う。しかし興行的には大成功しており、評判も良いから、この傾向が今後も続くと思うと、キャラクターが好きなだけに個人的には残念でならない。


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「効率」に関わる問題

2013-09-23 00:04:20 | Weblog

公募校長トラブル「11分の6」の衝撃、研修や採用基準の見直し急務に(産経新聞) - goo ニュース
民間人校長の面接時間、2倍の30分に 大阪市教委(朝日新聞) - goo ニュース

 大阪市の橋下徹市長が導入した公募制度で今年4月に着任した校長11人のうち6人が

不祥事やトラブルを起こしている。11人は書類選考や2度の面接を経て、928人の中から

選ばれ、市教委幹部は「いい研修ができたと思っていた」と振り返っていたが、わずか半年の

間に1人が早期退職し、2人がセクハラ行為などで懲戒処分や厳重注意を受け、今月19日、

追い打ちをかけるようにパワハラの疑いなど新たに3人のトラブルが発覚した。つまりこれは

応募してきた928人のレベルが低かったのか、あるいは市教委に人を見る目がないのか

よく分からないが、「これまでより丁寧に人物評価をするのが狙い」ということで来春採用する

予定の民間人校長35人に対する応募者71人の最終面接では、1人あたりの面接時間を

昨年の2倍の30分間にする方針にしたとしても、結局、時間の問題ではないような気がする。

そのような考え方自体がダメなのではないだろうか


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大失敗したから言えること

2013-09-22 00:08:49 | Weblog

みのもんた、生ラジオ復帰も謝罪なし 自身の見解語る(ORICON STYLE) - goo ニュース
みの「疲れている。眠れない」/一問一答(日刊スポーツ) - goo ニュース

 みのもんたが21日、文化放送の「みのもんたのウィークエンドをつかまえろ」に生出演し、

今月11日に窃盗未遂容疑で日本テレビ社員で次男の御法川雄斗が逮捕された件に言及し、

「三十過ぎて、世帯を保って、独立した人間に対して、親が責任を取るというのはどうなのか」

と疑問を呈している。自宅前の記者会見の際にも「私のせがれじゃなかったらこんな大騒ぎに

ならなかったろうな」と吐露していたが、みのもんたの息子だったからこそ校内で学ランを

盗んでも慶応を退学にならずに済んだわけだし、同時に三十歳過ぎても、その窃盗癖が治らな

かったわけだから、まさに「すべては自分に返ってくる」のである。『みのもんたの朝ズバッ

『みのもんたのサタデーずばッと』のプロデューサーから「あなたは報道の中立を守れるか

公明正大にできますか」と問われ、「身内の肩を持ちたくなりますね」と答え、その後に自粛

を要請されたらしいが、例え、番組に復帰できたとしても教育問題に関して今ままでのように

偉そうなことを語ることは出来なくなるであろう。大失敗したから言える事も無くはないけれど。


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『ビザンチウム』

2013-09-22 00:07:39 | goo映画レビュー

原題:『BYZANTIUM』
監督:ニール・ジョーダン
脚本:モイラ・バフィーニ
撮影:ショーン・ボビット
出演:ジェマ・アータートン/シアーシャ・ローナン/サム・ライリー/ジョニー・リー・ミラー
2012年/アイルランド・イギリス

男尊女卑としてのヴァンパイア物語 

 『ウォーム・ボディーズ』(ジョナサン・レヴィン監督 2013年)がゾンビの視点から描かれたゾンビ映画であるように、本作は女性のヴァンパイアの視点から描かれた吸血鬼映画であり、両方共に‘マイノリティ’の立場から既成の物語に新たなヴィジョンを提示している。
 既に200年以上も生きている「16歳」の主人公のエレノア・ウェッブは8歳年上の「母親」であるクララ・ウェッブとイギリスの海辺を訪れる。200年以上も共に暮らしている親子でいながら性格は正反対で、エレノアは思慮深いがクララはかなり奔放で、追っ手から逃れるために自分たちが住んでいたアパートの一室を放火した後、母親を亡くしてビザンチウムという怪しげな下宿屋を相続していたノエルを誘惑して自分のものにし、自分と似たような境遇の女性たちを集めて売春宿として運営する。
 それゆえに人間の血の吸い方も異なっており、男が支配する「ヴァンパイア同盟」から追放され、それまでの男に対する恨みつらみも手伝ってクララは人間の男にも容赦しないが、エレノアは死を決意してまで彼女の正体を知りたがるような老人や、回復の見込みがない病人の血のみを吸うように努めていた。
 二人の関係に亀裂が生じる原因は、高齢者向けの保養施設で働く若いウェイターのフランクの存在である。自身の過去を綴ったエレノアの文章を読んだ人々を次々と殺していくクララの心境は、決して自分たちの正体を知られたという思いだけではなく、海軍大佐のルヴェンなどによる不治としての男性不信があったはずであるが、クライマックスのダーヴェル大尉による「ヴァンパイア同盟」に対する裏切り行為は一気にクララの目を覚まさせたであろう。この時、母親はようやく子離れ出来たのである。


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『ウォーム・ボディーズ』

2013-09-21 22:54:59 | goo映画レビュー

原題:『Warm Bodies』
監督:ジョナサン・レヴィン
脚本:ジョナサン・レヴィン
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
出演:ニコラス・ホルト/テリーサ・パーマー/ジョン・マルコヴィッチ/デイヴ・フランコ
2013年/アメリカ

設定が曖昧と化す「悲劇」

 本作はいわゆる‘ゾンビもの’であるが、今までのものと異なるところは、生きている人間と完全に屍と化している骸骨の間に挟まれた存在としてのゾンビが、見た目とは裏腹に実は骸骨よりも人間に近いのではないのかという‘仮説’を、ゾンビの視点から、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』をベースに物語化しているところで、戯曲ではジュリエットが毒を飲んで仮死するが、本作では主人公のRがゾンビとして‘仮死’している設定の捻りはシャレていると思う。
 Rがヒロインであるジュリー・グリジオ(Julie Grigio)に恋してしまう要因は、Rがジュリーの恋人だったペリー・ケルヴィンの脳を食べたからであり、要するにRのジュリーに対する愛情は勘違いなはずなのであるが、ストーリーが展開していくにつれて何故かその設定は曖昧にされてしまい、それどころかRの友達であるMや他のゾンビたちまでが夢を見ることで人間に目覚めてしまう。しかしRにはジュリーというきっかけがあるから理解できるが、他のゾンビたちがRのように目覚めるきっかけが具体的に描かれておらず、後半のストーリーはお座なりになってしまっていると思う。


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弱者に強いフランス風刺画

2013-09-21 00:05:08 | Weblog

仏週刊紙、「過ちない」と反論=原発事故風刺画で謝罪拒否(時事通信) - goo ニュース
福島風刺画の仏紙謝罪せず「日本の攻撃に直面」(読売新聞) - goo ニュース

 18日付のフランス週刊紙「カナール・アンシェネ」が、東京電力福島第1原発事故を揶揄

した前週号掲載の風刺画に日本政府が抗議を申し入れたことを受けたことに対して、「日本

にいる本紙の予約購読者はわずか51人」だと指摘し、「ひどい風刺画を報道して国民を

傷つけたのは日本のメディアではないか」と批判しているが、思い返してみるならば、

デンマークの新聞に掲載された預言者ムハンマドの風刺画を、フランスの風刺専門週刊紙

「シャ­ルリー・エブド」が“転載”したことで国内でもイスラム教徒の間に抗議行動が広がり、

イスラム教徒を侮辱したとして訴えられていたその編集長が無罪になったことを知らない

わけではないだろう。欧州各国の新聞、雑誌がこれらの風刺画を相次いで転載した理由は

「表現の自由をあくまで擁護する」はずだったからである。風刺画掲載後、「日本語や英語で

数百通の脅迫的なメールを受けた」と主張しているが、脅迫的なメールで済んでいるだけ

幸運だと思わなければならない。ファビウス外相が、現在の状況下ではいかなる挑発行為

も非難の対象にしかならないと責任を持った行動を呼びかけていたにも関わらず、その

「シャルリー・エブド」が2012年9月19日付の号で、イスラム教の預言者ムハンマドの

裸の姿など複数の風刺画を掲載した際には、フランス政府が20カ国にある仏大使館や

学校を、イスラム教の金曜礼拝が行われる21日に閉鎖することになり、その後エロー首相

が「表現の自由は支持するが、限界はある」と指摘し、「風刺画の側面に沿っての報道の

自由はあるが、責任を負う問題もある」と釈明するはめにまで陥ったことを考えれば日本人

はおおらかである。「われわれは深く良心に問い、集団ハラキリの可能性も検討したが、

よく考えたら過ちはないので断念した」とちゃかしているが、今回も前回同様に過ちではない

のであるならば、皮肉も言い訳も茶化しも揶揄も言うことなすことどれも面白くないのだから、

せめてテロが行われない代わりに一人くらい検討した証として腹を切ってもよかったと思う。


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『エリジウム』

2013-09-20 22:40:12 | goo映画レビュー

原題:『Elysium』
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
撮影:トレント・オパロック
出演:マット・デイモン/ジョディ・フォスター/シャールト・コプリー/ヴァグネル・モーラ
2013年/アメリカ

先端の医療技術と緩い防衛能力のギャップについて

 本作に関しては既に『アップサイドダウン 重力の恋人』(フアン・ソラナス監督 2012年)のレビューで触れたように『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督 1968年)のような美しいヴィジョンで始まる近未来のイメージ作りは素晴らしい。例えば、2154年に貧困層の巣窟と化している地球から「エリジウム」と呼ばれる、限られた富裕層が住むスペースコロニーへ不法入国を試みる者たちが乗る宇宙船が、美しく緑に覆われた大地に不時着する様子を映し出すことにより、貧富の差を明るみにする演出は悪くはないものの、病気を瞬時に治療してしまうベッドを個々の住宅に備えられるほどの先進医療技術を持つ「エリジウム」の、いとも簡単に地球からやって来る宇宙船に不法入国を許してしまう防衛能力の緩さが、ストーリー全体の弛緩に繋がっており、主人公のマックス・ダ・コスタの言動に緊張感が感じられないのである。


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脇雅史の“自爆ギャグ”

2013-09-20 00:51:01 | Weblog

「議員選ぶ人あほうでも」=脇自民参院幹事長(時事通信) - goo ニュース
「選ぶ人がアホでも」 自民参院幹事長、有権者軽視?(朝日新聞) - goo ニュース
「選ぶ人がアホでも」 自民・脇氏、有権者を軽視?(産経新聞) - goo ニュース

 自民党の脇雅史参院幹事長は18日夜、都内であった同党女性議員の集いでのあいさつ

において、選挙制度改革を行う際に女性議員を増やす観点が必要だとした上で「今の制度

は政党の段階で候補者の選び方が未熟だ。政党が本当に正しい意味で国会議員を選べる

か。これさえしっかりしていれば、あまり大きな声では言えないが、選ぶ人がアホでも、選ば

れる人は立派だ」と発言し、更に「国民のレベル以上の国会議員は出てこないというが、

もっと国会議員の選び方を厳正にする仕掛けが必要だ」とも語ったらしい。しかし自民党の

国会議員を選んでいる政党というのは脇が所属している自民党であり、他党ではないの

だから、しっかりしていないのは参院幹事長という肩書きを持つ脇本人ではないのか

常識で判断するならばアホが立派なものを選ぶはずがない。アホを選んで恥をかかせて

密かに楽しんでいる男の嫉妬というものが存在する事を私は麻生太郎を見て知った。


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