原題:『Warm Bodies』
監督:ジョナサン・レヴィン
脚本:ジョナサン・レヴィン
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
出演:ニコラス・ホルト/テリーサ・パーマー/ジョン・マルコヴィッチ/デイヴ・フランコ
2013年/アメリカ
設定が曖昧と化す「悲劇」
本作はいわゆる‘ゾンビもの’であるが、今までのものと異なるところは、生きている人間と完全に屍と化している骸骨の間に挟まれた存在としてのゾンビが、見た目とは裏腹に実は骸骨よりも人間に近いのではないのかという‘仮説’を、ゾンビの視点から、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』をベースに物語化しているところで、戯曲ではジュリエットが毒を飲んで仮死するが、本作では主人公のRがゾンビとして‘仮死’している設定の捻りはシャレていると思う。
Rがヒロインであるジュリー・グリジオ(Julie Grigio)に恋してしまう要因は、Rがジュリーの恋人だったペリー・ケルヴィンの脳を食べたからであり、要するにRのジュリーに対する愛情は勘違いなはずなのであるが、ストーリーが展開していくにつれて何故かその設定は曖昧にされてしまい、それどころかRの友達であるMや他のゾンビたちまでが夢を見ることで人間に目覚めてしまう。しかしRにはジュリーというきっかけがあるから理解できるが、他のゾンビたちがRのように目覚めるきっかけが具体的に描かれておらず、後半のストーリーはお座なりになってしまっていると思う。