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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ウォーム・ボディーズ』

2013-09-21 22:54:59 | goo映画レビュー

原題:『Warm Bodies』
監督:ジョナサン・レヴィン
脚本:ジョナサン・レヴィン
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
出演:ニコラス・ホルト/テリーサ・パーマー/ジョン・マルコヴィッチ/デイヴ・フランコ
2013年/アメリカ

設定が曖昧と化す「悲劇」

 本作はいわゆる‘ゾンビもの’であるが、今までのものと異なるところは、生きている人間と完全に屍と化している骸骨の間に挟まれた存在としてのゾンビが、見た目とは裏腹に実は骸骨よりも人間に近いのではないのかという‘仮説’を、ゾンビの視点から、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』をベースに物語化しているところで、戯曲ではジュリエットが毒を飲んで仮死するが、本作では主人公のRがゾンビとして‘仮死’している設定の捻りはシャレていると思う。
 Rがヒロインであるジュリー・グリジオ(Julie Grigio)に恋してしまう要因は、Rがジュリーの恋人だったペリー・ケルヴィンの脳を食べたからであり、要するにRのジュリーに対する愛情は勘違いなはずなのであるが、ストーリーが展開していくにつれて何故かその設定は曖昧にされてしまい、それどころかRの友達であるMや他のゾンビたちまでが夢を見ることで人間に目覚めてしまう。しかしRにはジュリーというきっかけがあるから理解できるが、他のゾンビたちがRのように目覚めるきっかけが具体的に描かれておらず、後半のストーリーはお座なりになってしまっていると思う。


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弱者に強いフランス風刺画

2013-09-21 00:05:08 | Weblog

仏週刊紙、「過ちない」と反論=原発事故風刺画で謝罪拒否(時事通信) - goo ニュース
福島風刺画の仏紙謝罪せず「日本の攻撃に直面」(読売新聞) - goo ニュース

 18日付のフランス週刊紙「カナール・アンシェネ」が、東京電力福島第1原発事故を揶揄

した前週号掲載の風刺画に日本政府が抗議を申し入れたことを受けたことに対して、「日本

にいる本紙の予約購読者はわずか51人」だと指摘し、「ひどい風刺画を報道して国民を

傷つけたのは日本のメディアではないか」と批判しているが、思い返してみるならば、

デンマークの新聞に掲載された預言者ムハンマドの風刺画を、フランスの風刺専門週刊紙

「シャ­ルリー・エブド」が“転載”したことで国内でもイスラム教徒の間に抗議行動が広がり、

イスラム教徒を侮辱したとして訴えられていたその編集長が無罪になったことを知らない

わけではないだろう。欧州各国の新聞、雑誌がこれらの風刺画を相次いで転載した理由は

「表現の自由をあくまで擁護する」はずだったからである。風刺画掲載後、「日本語や英語で

数百通の脅迫的なメールを受けた」と主張しているが、脅迫的なメールで済んでいるだけ

幸運だと思わなければならない。ファビウス外相が、現在の状況下ではいかなる挑発行為

も非難の対象にしかならないと責任を持った行動を呼びかけていたにも関わらず、その

「シャルリー・エブド」が2012年9月19日付の号で、イスラム教の預言者ムハンマドの

裸の姿など複数の風刺画を掲載した際には、フランス政府が20カ国にある仏大使館や

学校を、イスラム教の金曜礼拝が行われる21日に閉鎖することになり、その後エロー首相

が「表現の自由は支持するが、限界はある」と指摘し、「風刺画の側面に沿っての報道の

自由はあるが、責任を負う問題もある」と釈明するはめにまで陥ったことを考えれば日本人

はおおらかである。「われわれは深く良心に問い、集団ハラキリの可能性も検討したが、

よく考えたら過ちはないので断念した」とちゃかしているが、今回も前回同様に過ちではない

のであるならば、皮肉も言い訳も茶化しも揶揄も言うことなすことどれも面白くないのだから、

せめてテロが行われない代わりに一人くらい検討した証として腹を切ってもよかったと思う。


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