結局、日本代表は1勝もできずに予選敗退してしまったが、椎名林檎の「NIPPON」は
精巧に仕組まれた楽曲である。例えば、「この地球上でいちばん混じり気の無い気高い青」
という歌詞を取り上げて純潔主義だとか右翼的という批判があるようだが、続くフレーズは
「何よりも熱く静かな炎さ」なのだから、ここは「青い炎」という言葉が分けられて
それぞれ形容されていることが分かる。
ラストのフレーズも「Hurray! Hurray! The wind is up and blowing free on our native home.
(万歳!万歳!我らが祖国に風が吹いている)」「Cheers! Cheers! The sun is up and shining
bright on our native home.(乾杯!乾杯!我らが祖国に日が射している)」も「我らが祖国
(our native home)」が右翼的と見なされているようだが、英語で歌っている事自体が寧ろ
左翼的であろう。「native home」を2語の連音によって「ネ~ティボンム」と発音し、後半の
「ティボンム」を「ニッポン」と響かせるテクニックも秀逸で、そのエロティックな「右翼感」が
三島由紀夫に匹敵すると言えば大げさだとしても名曲といっても過言ではないと思うが、
6月23日付のオリコン週間シングルランキングでは9位で初動1.4万枚という結果だった。