MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『アナログ』

2023-10-13 00:59:28 | goo映画レビュー

原題:『アナログ』
監督:タカハタ秀太
脚本:港岳彦
撮影:板倉陽子
出演:二宮和也/波留/桐谷健太/浜野謙太/藤原丈一郎/坂井真紀/筒井真理子/佐津川愛美/鈴木浩介/板谷由夏/高橋惠子/リリー・フランキー
2023年/日本

左手の小指について

 主演の4人のアドリブを交えた演出もリアルで良いし、海岸のシーンはどれも美しくて感銘を受けたのではあるが、どうしても一つだけ納得ができないシーンを記しておきたい。
 主人公の水島悟が美春みゆきの誘いで海岸に行き、その場に捨ててあった凧を上げたり、紙コップに糸を付けて糸電話で二人で会話をする。糸電話が上手く聞こえるために悟はどんどん糸を長くしていくところまではシネマスコープを利用して面白かったのだが、一番長くしたところでみゆきはコップを持っている左手の小指で糸に触れており、それでは悟の声が聞こえなくなるのではないかと思った。実際に悟の声は「心の声」として聞こえたのであるが、みゆきの声が聞こえず、これは何かの伏線だと思ったのであるが、最後には聞こえていたということが分かり、それではみゆきの左手の小指の意味は何だったのか分からないのである。もちろんこれは演者の問題ではなく演出の問題である。
 ところで「ピアノ」の出口の左横にフランス語が書かれている。文章を和訳してみると「ここのコーヒーを僕は欲しくてたまらない(Ce café J’en ai l’eau à la bouche.)」という意味で「エマニュエル」というサインがしてある。そしてその下にもう一文フランス語で書かれていて「僕はお腹がすいてるんだ(J'ai une faim.)」という意味でまた「エマニュエル」のサインがしてある。つまり美味しそうなコーヒーだと思っていたらただ単にお腹がすいていたから美味しかったというギャグなのであるが、ここは面白かった。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2298059


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