原題:『Chiwawa』
監督:二宮健
脚本:二宮健
撮影:相馬大輔
出演:門脇麦/成田凌/寛一郎/玉城ティナ/吉田志織/村上虹郎/松本穂香/栗山千明/浅野忠信
2019年/日本
不自然な性交について
千脇良子、通称「チワワちゃん」の殺人事件をきっかけに主人公のミキが彼女のそれまでの消息を訪ね歩く本作の物語は、一見取留めのないように見えるのだが、ここでは印象的なシーンを取り上げたいと思う。
ミキは元カレでチワワちゃんとも交際していたヨシダの元を訪れるのだが、就職活動中なのかヨシダはスーツの着こなしが気になってミキの話など上の空で、チワワちゃんが殺されたにも関わらず、無関心なヨシダにミキは失望してしまう。突然、ヨシダはミキを羽交い絞めにして強姦するのだが、途中で体を離すとヨシダは自慰をしながらもう一方の手でミキの股間を刺激するのである。
この不自然な性交を勘案するならば、ミキやヨシダたち、つまりは原作者である岡崎京子は子供を持って家庭を持つというような安定した生活に全く興味がなく、「青春」の終わりが人生の終わりのように捉えているように見える。例えば、ミキがテレビのニュースで見るシンガポールなどで起こった連続爆破事件でさえミキたちにすれば「青春」の澎湃のように見えるのかもしれない。