MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

ある自衛官のご子息について

2019-02-22 00:28:02 | Weblog


(2019年2月14日付毎日新聞)

安倍首相「自治体6割非協力」=自衛隊員募集めぐり主張―実際は9割が協力
安倍首相vs野党 憲法と自衛隊で激論 「パパは憲法違反?」めぐり
首相、改めて「6割の自治体が求め応じず」 自衛官募集

 安倍晋三首相が10日の自民党大会で「自衛官が息子から涙ながらに『お父さん、憲法違反なの?』と尋ねられた」というエピソードを紹介したことに対して、立憲民主党の本多平直衆院議員が事実かどうか訊ねたのであるが、首相は実話であると言った後に、「防衛省から聞いた話であります」と断ってしまっている。つまり安倍首相は驚くべきことに確かめることなく伝聞を実話だと言っているのである。
 嘘だと言われたと思い込んで「本多議員は、わたしの言ったことはうそだと言っているんでしょ。それは非常に無礼な話ですよ。うそだって言ってるんでしょ、あなたは」、「本当だったらどうするんですか、これ」と言って激怒した安倍首相に対して本多議員の「いつどこで聞いたんですかって聞いてるんですよ。例え話なのか実話なのかと聞いただけじゃないですか」という当然の質問に対して安倍首相は「こういう話をですね、わたしがうそ言うわけないじゃないですか」と反論するのであるが、安倍はこの程度の話で嘘を言った実績があることはこのブログで既に指摘した通りで、いわゆる「辞書の話」なのだが、安倍首相はいまだに事実であることを証明できていないのである。


(2019年2月14日付毎日新聞)

 仮に実話だとしてもこの自衛官の息子のためだけに憲法を変えるというのだから、このご子息の正体を知りたいというのが本多議員の本音だったと思う。2014年11月、衆議院解散表明後にTBS系報道番組に出演し、番組が流した景気の実感を聞く街頭インタビューで否定的な声が紹介された際に、安倍首相は「みなさん(政権に批判的な人を)選んでいる。おかしいじゃないですか」と抗議していたのであるが、その時学習した成果なのか、安倍首相は「政権に便利な人」を選んでいるのである。


(2019年2月16日付毎日新聞)

 同じ自民党大会において安倍首相は「残念ながら新規隊員募集に対して、都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります。地方自治体から要請されれば自衛隊の諸君は直ちに駆けつけ、命を懸けて災害に立ち向かうにもかかわらずであります。皆さん、この状況を変えようではありませんか。憲法にしっかり自衛隊と明記して、違憲論争に終止符を打とうではありませんか。」と発言しており、13日の衆議院予算委員会でも「自衛隊員募集に対する自治体の協力は、防衛省からの要請にもかかわらず、全体の6割以上の自治体から協力を得られていないというのが真実、ファクトだ」と発言しているのだが、とりあえず安倍首相の「真実、ファクト」が真実、ファクトでなかったことはすぐに明らかになった。


(2019年2月16日付毎日新聞)

 しかし本多議員の質問に対して安倍首相は「住民基本台帳法に基づく閲覧は見るだけで、写しの交付は行われない。膨大な情報を自衛隊員が手書きで書き写している。これは協力していただけないと考えるのが普通だ」と強弁している。
 自衛隊官の募集に関する問題は、自衛隊法施行令と住民基本台帳法の兼ね合いの問題であり、自衛隊が憲法9条に明記されたとしても解決しない問題であるということは甲南大法科大学院の園田寿教授が指摘していることで、憲法9条を変えたら住民基本台帳の写しが交付できるわけではないのである。
 安倍晋三首相は憲法9条の改正のために情に訴えたり、理屈で打開しようと試みたりして手を替え品を替えているようだが、憲法と法律の区別さえついていないようでどうしても身に沁みついたバカが隠しきれない。


(2019年2月13日付毎日新聞)

 だから菅義偉官房長官は「事実に基づかない質問」を気にするよりも「事実に基づかない首相の答弁」をもっと気にするべきなのである。「事実誤認 拡散の恐れ」があるからね。


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