MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『野菊の墓』

2018-12-25 00:37:48 | goo映画レビュー

原題:『野菊の墓』
監督:澤井信一郎
脚本:宮内婦貴子
撮影:森田富士郎
出演:松田聖子/桑原正/村井国夫/赤座美代子/樹木希林/加藤治子/愛川欽也/白川和子
1981年/日本

松田聖子と山口百恵の「因縁」の起源について

 ここでは何故松田聖子の映画初主演作品が「時代劇」なのかを考えてみたいのだが、それには松田聖子が所属していたサンミュージックの創業者の相澤秀禎と山口百恵が所属していたホリプロダクションの創業者である堀威夫の「因縁」にまでさかのぼる必要があるだろう。
 それまで芸能プロダクションといえば渡辺プロダクションだったのであるが、堀は全ての資金を工面して銀座でジャズ喫茶を経営していた谷富次郎と「東洋企画」という芸能プロダクションを設立し、そこに相澤もスタッフの一人として参加していたのである。しかし感情の行き違いなどから堀と谷が衝突し堀が追放されてしまうのであるが、この時相澤は谷の方についたのである。
 やがてホリプロダクションは山口百恵という大スターを生み出すのであるが、山口が引退するのと入れ替わるように、サンミュージック所属の松田聖子が「ポスト山口百恵」の地位に就こうとしていた。
 山口百恵の映画主演のデビュー作は『伊豆の踊子』(西河克己監督 1974年)で当然ながら相澤はこのことを意識していたはずで、山口が『伊豆の踊子』ならば松田は、山口がテレビドラマで演じたものの映画化できなかった『野菊の墓』と踏んだのであろうが、時代は既に1980年代の「トレンディードラマ」の時代で松田のファンを「何で?」と困惑させた感は否めない。以上は『山口百恵』(中川右介著 朝日文庫 2012.5.30)に拠る。


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