原題:『The Grinch』
監督:ヤーロウ・チェイニー/スコット・モシャー
脚本:マイケル・レシュー
出演:ベネディクト・カンバーバッチ/キャメロン・シーリー/ファレル・ウィリアムス
2018年/アメリカ
日本語吹き替え版ならではの「解釈」について
孤児院出身でクリスマスに良い想い出が何もなかった主人公のグリンチはまだ12月20日なのにフーヴィルで暮す住人たちがクリスマスで盛り上がっていることが癪で、クリスマス前夜にサンタクロースに扮してフーヴィルに忍び込み、クリスマスのプレゼントを全て盗むことを企てる。バレずに盗み終えようとした矢先に、シンディ・ルーの仕掛けた罠にひっかかってしまう。シンディはサンタクロースだと思い込んでグリンチにプレゼントではなくシングルマザーの母親のドナの家事労働を減らして欲しいと嘆願したことに心を打たれる。さらにプレゼントを盗まれたにも関わらず、子供たちが歌を歌っていることに感動して心を入れ替えてしまうグリンチの信念の弱さは子供向きの作品としては致し方がないのかもしれないのだが、日本語吹き替え版に関して言うならば、「シンディ・ルー」という響きが「死んでいる」と聞こえて、もしかしたらこれはグリンチが見ている夢の話なのかという不気味さが感じられた。
同時上映のミニオン新作短編『ミニオンのミニミニ脱走』の原題である「Yellow is the New Black」とは「黄色(=ミニオンの色)こそ流行の最先端」という意味になる。
個人的にはグリンチが鍵盤を弾きながらエリック・カルメンの「オール・バイ・マイセルフ(=完全に一人で)」を歌うシーンが笑えた。
Eric Carmen - All by Myself (Audio)