MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

マルセル・デュシャンの「時代」

2018-12-08 00:54:25 | 美術

 キュビスムを介して「コンセプチュアル・アート(Conceputual Art)」という概念に

行きついたマルセル・デュシャンは芸術を「美」の観点ではなく、「発想」の道具として

捉えるようになる。

 「レディ・メイド(Ready-made)」とは「オブジェ・トルヴェ(objet trouvé)」と

呼ばれる「物」を使った作品のあり方である。デュシャン本人は儲かったのかどうか

定かではないが、『マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による』

という通称『トランクの中の箱(Boîte-en-valise)』を限定で制作している。自らの

作品のミニチュアのレプリカを箱に詰め込んで、作品のアンソロジーとして作ったのである。

これは後にロックミュージックのボックスセットや美術館で売られているミュージアム

グッズの元祖と言えるものである。

 芸術の「産業化」に手を貸してしまったようになってしまったデュシャンであるが、

それが彼の本望だったのかどうかは分からない。


(2018年11月29日付毎日新聞)


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