MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『リンキング・ラブ』

2017-11-17 00:34:59 | goo映画レビュー

原題:『リンキング・ラブ』
監督:金子修介
脚本:金子修介/長谷川隆
撮影:釘宮慎治
出演:田野優花/石橋杏奈/白洲迅/中尾明慶/西村まさ彦/渡辺徹/浅田美代子
2017年/日本

二次元アニメと生身のアイドルの「リンキング」について

 本作は監督の金子修介の「アイドル論」であるらしい。そうなると興味深いのは主人公の真塩美唯の父親の真塩健一郎が夢中になっているアイドルグループの「CoCoRibbon」という名前である。「CoCoRibbon」とは1990年前後に活躍したアイドルグループの「CoCo」と「ribbon」から取られていることは容易に分かる。興味深いのは「CoCo」も「ribbon」も秋元康が関わっていないアイドルグループだということである。
 この「CoCoRibbon」のスタイルの「古さ」がやがて26年後の両親の離婚につながったと感じた美唯が再びタイムスリップして「AKB商法」を伝授することになるのであるが、よく分からないのは、美唯のスマートフォンでAKB48の存在を知った牛尾貴文がすぐに「USО48」なるグループを立ち上げてしまい、美唯が2017年に戻るとアイドルの「暗黒時代」になっていたというストーリーの流れなのだが、美唯の部屋にはAKB48のCDやグッズの代わりに「USО48」のCDやグッズが揃っており売れているのではあり、再び1991年に戻る時に美唯は「USО48」のCDでASG16の基本を形作るのである。
 最終的に「恋のフォーチュンクッキー」を歌って踊る由美子に感銘した健一郎がプロポーズすることになり大団円を迎えることになるのだが、何故「CoCoRibbon」でダメだったものがAKB48では上手くいくことになるのか、健一郎の内面では「二次元アニメ」とAKB48がつながったのかもしれないが、傍目からはよく分からない。例えば、集団の中でセンターに立っていると良く見えるものが、一人になると「普通」の人になってしまうということは卒業したメンバーのその後の活動を見ていれば分かることで、「アイドル論」というよりもただ単に秋元康への礼賛でしかないように見えてしまう。しかし例えば、週刊明星の1991年10月28日号の表紙に尾崎豊と斉藤由貴の不倫の見出しを放り込んでくるような攻めのギャグに関しては悪くはない。
 真塩美唯を演じた田野優花の狂言回しの熱演は十分評価するに値するが、本作が製作された一番の目的は今最も美しい女優の一人である石橋杏奈を本当の意味で「踊らせる」ことだったと思う。それが本作や『ケータイ刑事 銭形シリーズ』の製作に携わっているBS-TBSの「作風」なのである。個人的にはこのような作風は嫌いではないけれど。


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