渋谷にある名画座「シネマヴェーラ」は過去の名作が上映されると共に、上映される映画に関する
当時の資料も揃えてあって、とても参考になるのであるが、時々資料に混じって奇妙なものを
見つけてしまう。例えば、上の広告なのであるが、これは国際出版社が出した「英和対訳シナリオ
シリーズ -39-」と称し、「生きた英語は映画から、正しい受験英語は映画から」と惹句が
ついた英語教材なのである。ところがこの『ヨーロッパ1951年(Europa '51)』という
作品はイタリアの映画監督であるロベルト・ロッセリーニが撮ったイタリア映画で、確かに
イタリア語版と英語版が制作されたようなのであるが、主演のイングリッド・バーグマンは
スウェーデン出身だし、本作を研究する素材としては優良な資料であるとしても、英語教材に
するには色々とややこしい作品を何故わざわざ選んだのかよく分からないのである。