警察署に行く。
正面玄関の前に身長と同じくらいの長さの警棒を杖のようにして持っている警官が見張っている。
僕、私服警官に職務質問されたという人生経験の持ち主なので、警官を見るとちょっと緊張してしまう。
奇抜なアクションはしないように、警官を刺激しないようにとつい意識してしまう。
署内へ入るときもその警官に「こんにちは」と挨拶。
なるべく不審がられないようにと気を使っているつもり、、、。
玄関をはいった踊り場にいた警官にも挨拶して要件を告げる。
それなら二階に行ってくださいと警官のおじさん。
二階に行くと、運転免許証の書き換えにきていたおじいさんとその相手をする女性警官に遭遇。
「おじさんのメガネは老眼鏡ですか、近視のメガネですか」と婦人警官。
「普通のメガネや」と無気力におじいさんが言う。
「だから、それは近視のメガネですか、老眼鏡ですか」と女性警官。
しばらく間をおいて
「普通のメガネや」とおじいさん。
「遠くを見るメガネですか、それとも本とか読むときにかけるメガネですか」と婦人警官。
「普通のメガネやて」といら立たしげにおじいさん。
女性警官の言い方も結構とんがっているけれど、、、。
そんな問答をしばらく続けていてもずっと話は同じところを回っている。
とうとう女性警官が視力表のほうをむいて、「実際にやってみましょう」と言った。
「上から三番目の文字はなんですか」と女性警官。
「わからん」とおじいさん。
「おじさん、遠くが見えないので近眼です」と女性警官は言った。「運転するときは危ないのでちゃんとメガネかけてくださいね」
おじいさんはなぜか無言。まあ話はなんとか通じているとは思うけれど、、。
でも、僕、そこまで話を聞いていて気づいた。
近眼のメガネなら中央部の薄いレンズでレンズから向こうを見ると向こう側は小さく見える。
老眼のレンズなら、中央部の膨らんだレンズで、レンズ越しに向こうを見ると大きく見える。つまりは虫眼鏡と同じレンズ。
問答を続けるよりも女性警官、おじいさんのメガネを見てあげたほうが良かったかもしれない。
でも、そんなおじいさんのメガネを見ようとすると、そんなときは「人のメガネ勝手に見るな」と怒り出すかもしれない。
用心にこしたことはないか。
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空には半月。
夜は寒くなってきた。初冬だなと思う。
それはともかく いちにち いちにち 無事にすごせますように、それを第一に願って行きたい。