ケンのブログ

日々の雑感や日記

イパネマの娘

2019年03月16日 | 日記
僕が予備校に勤めていた頃
Gさんという女の子がバイトに来ていた。
彼女はある秋に大学の願書を府県別に
仕分けする仕事をづっとしていた。
「大学の願書仕分けしてるの」と僕は言った。
「はい。大学の名前と所在地が
これで大体覚えられました」とGさんは言った。
前向きな受け答えをする子だなと思った。
昼休みの食事の時間に時々Gさんと一緒になった。
Gさんは高校の時ブラスバンドで
クラリネットを演奏していた。
「年に、一回東京の普門館にブラスバンドの
全国大会を聴きに行くんです」と彼女は言った。
「もうあれ聴くと心にグーっと来ます」
まあ、グーっとくるタイプの子なんだなと思った。
彼女はウルフルズの躍進を当時期待していた。
あるとき彼女がボサノバの話をした。
「ボサノバって何」と僕は聞いた。
「○○」と彼女はボサノバの曲を言った。
「それ知らない」と僕は言った。
「△△」と彼女はもうひとつボサノバの曲を言った。
「ごめん、それも知らない」と僕は言った。
「イパネマの娘」と彼女は言った。
「わかった」と僕は言った。
あのときは本当にわかったと思った。
わかるまで3曲も具体例をあげてくれて
本当にいい子だなと思った。
セルフサービスの珈琲店に入ると
スピーカーからイパネマの娘が流れている。
この曲を聴くとGさんのことを思いだす。
あるとき僕の上司が
Gは頭もエエし性格もエエと言っていた。
なんや、上司もそう思っとるんか
と僕は思った。
指をおって勘定すると
彼女も今年の秋で43才だなと思う。
本当にはやいな。
イパネマの娘