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「儒教と負け犬」酒井順子

2023年08月14日 06時53分15秒 | 読書(現代事情)


「儒教と負け犬」酒井順子

韓国、中国と、儒教の影響甚大なる国を訪問して座談会をひらく。
少子化と晩婚化の謎を追う旅行記。

P37
韓国の男性が兵役に就くのは、大学在学中のことが多いとのこと。つまり恋愛したい盛りのお年頃に、2年間も世俗を離れなければならないわけです。
すると、それまで交際していたカップルも、どうしても彼が兵役中に別れてしまうことが多くなる。

P55
儒教といえば親孝行、というイメージもあるわけですが、この「孝」という教えは、親孝行だけを指すものではありません。祖先の祭祀、親孝行、そして子孫を生むことという3点セットが「孝」なのだそうです。

P94
纏足がいつ始まったのかは定かではないそうですが、宋代末期には、女性が纏足をしないで「大足」のままでいると、人に笑われるような時代になりました。大足で闊歩しながら現代を生きる私のような者からすると、「しかし何故、足を小さくなどする必要が?」と思うわけですが、
①大足のままで肉体労働をするような下層民ではない、ということを示すため。纏足をしていないと結婚もできない、という風潮もあった。
②女性の行動範囲を制限するため
③男性の性欲を刺激するため
(中略)
女性を自らの支配下に置くため、女に凌駕されないため『纏足の歴史』
「女が卑弱で、人の下にいるのが主であることを明らかにするためであった」(班昭『女誡』)
「婦女は纏足する必要がある。さもなければ、男子のように強壮になり、夫になる者が征服することができない」(『海客談蓮』)

P102
「婚姻の問題があるのは、三高の女性たちですね」
(中略)
「学歴が高い、収入が高い、そして年齢が高いということです」
(中略)
「いい男はみんな結婚しちゃった。いい女はみんな残っちゃった」

P105
(上海は)急激な少子化&高齢化の危機が叫ばれており「白髪都市」などと言われはじめているとのこと。

P107
「上海では三高女と三低男は、絶対にくっつかないんですよ。三高女は余ってるけど、三低男は、余ってないから」
とのお答え。
「えっ、なぜ三低男は余っていないのですか?」
とさらに問えば、
「上海には『外来の嫁』という言葉があります。上海の三低男は、地方とか農村から嫁を取ればいいんです」
(中略)
「それだけではありません」
と周先生。
「面子の問題も、あるでしょうね」
(中略)
「自分より下の男は絶対にイヤ、という三高女が多いですね。それに、もしそういうカップルができたとしても、周囲の反対がものすごいです」
(中略)
「三高でなおかつ美人という人が上海にはたくさんいますが、あまりに完璧だと、かえって男性に恐怖心を与えるようです。(後略)

【参考】
儒教は基本的に男性のための宗教、上層部のための宗教であり、女性や下層階級はその枠のなかから排除されてしまう。「教養としての宗教事件史」島田裕巳P252)

【ネット上の紹介】
負け犬(日本)、老処女(韓国)、余女(中国)。何故、この三国で晩婚化が進むのか?負け犬の敗因が浮き彫りに…。
「老処女」を巡るソウルの旅(姦通罪のある国で
ソウル負け犬座談会1―法事とママボーイ

ソウル負け犬座談会2―徴兵制とカリスマ性
ソウル勝ち犬座談会―整形と受験地獄
儒教のプレッシャー
韓国女性開発院を訪ねて
老処女の結婚条件
発信する老処女達)
「余女」を巡る上海の旅(纏足が千年続いた国で
上海市婦女幹部学校を訪ねて(革命と男女平等
面子と三高女)
上海負け犬座談会1―親と上海男
上海負け犬座談会2―合コンと不倫
上海勝ち犬座談会1―女王と料理
上海勝ち犬座談会2―ツンデレと縁文)
儒教と負け犬(「女大学」を読む(三従と七去
益軒と諭吉)
「列女伝」を読む―強さと従順)
負け犬三都調査(その、恋愛とセックス
その、結婚と結婚後)
負け犬たちの希望

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