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「社会を知るためには」筒井淳也

2021年02月27日 08時49分41秒 | 読書(現代事情)


「社会を知るためには」筒井淳也

社会学入門、とも言うべき作品。
随所に推薦図書も紹介されており、参考になる。
P87
二十世紀後半の社会変動にはいくつか大きな流れがありましたが、目につくところで大きな変化のうちのひとつが、女性の労働力参加です。

戦争と福祉充実の因果関係
P94
一般に戦争が生じると、稼ぎ頭である(働き盛りの)男性の障害や死、あるいは職場復帰の困難がもたらされるので、政府が国民の生活の保障をする必要が高まるのです。(男性がいないため、電車の運転は従来男性が行っていたのが、女性が進出した。ところが、大陸から男性が復員してくると、再び、女性は駆逐された、というような例がある・・・「チンチン電車と女学生」

社会主義と計画経済
P125
ほとんどの社会主義の国は、ロシアのように社会主義を捨ててしまうか、あるいは中国のようにそれを大幅に修正してしまいました。社会主義というのは、拡大する分業と資本がもたらす問題を解決しようという意図を込めた二十世紀の人類の壮大な実験であり、また壮大な「意図せざる結果」を生み出した運動でもありました。

P201
家族主義の国で家族を作らなくなっているというのは、逆説的な現象ですね。
(中略)
家族主義の国では、家族の役割が重いですから、気軽に家族を作るわけには行きません。ちゃんと機能する家族を作るために、女性はしっかり稼ぐ能力のある男性を探さなければなりません。

【ネット上の紹介】
「社会」という言葉は、様々な形で使われていて、普段は存在を意識しないが、その実態はとてもあいまいだ。では、どのようにすれば「社会」を理解できるのか?複雑化、副作用、絡み合う因果関係など、その特徴をつかむ。
第1章 「わからない世界」にどう向き合うか
第2章 専門知はこうしてつくられる
第3章 変化する社会をどう理解するか
第4章 なぜ社会は複雑になったのか
第5章 変化のつかまえ方
第6章 不安定な世界との付き合い方

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