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「百年の快楽」工藤美代子

2022年05月17日 00時34分43秒 | 読書(現代事情)


「百年の快楽」工藤美代子

熟年女性の結婚、離婚を扱った作品。
ネット上の紹介には、次のように書いてある。
『人生百年時代をどうやって幸せに生きるのか』、と。

P43
いくら慰謝料をもらったって、夫を略奪された前の妻の悲しみが癒えるわけではない。せめてもの誠意として、慰謝料を払うのなど当たり前だろう。それが高額であったことまで自分のステイタスに付け加えようとする後妻の根性にうんざりしたが、もちろん何もいわなかった。

P45
恋愛をする年齢に制限はない。だが、結婚まで踏み込むとなると、年齢は大きな意味を持ってくる。なぜなら、二人の残り時間は限られているのだから、その範囲で新家庭を築くのは簡単な作業ではない。

P137
この世には結婚に向かない女もいる。

P238
「驚いたわよ。80歳を過ぎて愛人をつくるなんて」という多恵さんの声は震えていた。「でも、80歳を過ぎているから、離婚したかったんじゃないかな」と私は返した。

P149
家庭なんて、古着と一緒かもしれない。いつもどこかを繕って、手当をしないとただのボロ布になる。(家庭とは二人で育てるもの、と何かで読んだ気がする)

P251
男女関係はある意味では銀行預金に似ているのではないかと私は常々思っている。
恋愛の過程で、お互いに相手が持っている口座に自分の愛情を振り込む。途中で相手に飽きたり、相手を嫌いになったら、もう振り込む気がしなくなる。口座は閉鎖され、男女の残金にも差が生じる。たくさん振り込んだ方が損をしたと文句をいっても、すでに後の祭りである。しかし、残高に不均衡があるからこそ、たいがいの恋愛が終わりを告げるのも事実だ。
一方、長い年月をかけて、必ず愛情を振り込み続けますと約束をするのが結婚ではないだろうか。
(中略)
でも、不倫にはこの預金口座がないと思うのだ。そもそも初めから貯めておかないのだから、引き出す愛情もない。

遊郭を経営していた老人の話
P55
娼婦の人たちは1日に10人のお客を取っても、性器が傷つくことはない。ところが、あるとき遊郭で火事があって娼婦たちが1ヵ月ほど営業できない期間があった。仕事に復帰した女性たちは、みんな「毛切れ」の症状を訴えたという。つまり休みの間はセックスをしないで、ゆっくりお風呂に浸かっていた。すると性器が乾燥してしまい客の陰毛で小さな傷が無数につくほど脆くなって、ひどく痛い。元のように戻るまでけっこうな日数がかかったそうだ。

【ネット上の紹介】
人生百年時代をどうやって幸せに生きるのか。女性たちは今、かつてない命題に直面している。望みさえすれば、誰もがいつまでも美しく、欲望も満たせる時代は到来したのだろうか。熟年の出逢いと結婚のドラマ。美容整形の最前線。年齢を重ねたゆえに襲いかかる性交痛。さらにはパートナーや親の介護から遺産相続などの経済的な問題まで…。ベストセラー「快楽」シリーズの作家が、後半生を迎えた女性の赤裸々な告白にとことん向き合い、鋭く現実を抉り出す(単行本『後妻白書』に大幅加筆し改題)。この本は、あなたが新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。
三桁が珍しくない時代の再チャレンジ
六十歳を過ぎても生々しく女でいたい
セックスに悩む女性たちの葛藤
美容整形とエステの最前線
遺産争いに立ち向かう心構え
結婚に向く人、向かない人
結婚相談所で聞いた「成否を分けるもの」
後妻に必要な覚悟とは
彼女たちの嫉妬の炎を鎮める方法
「高齢者の出会いスポット」巣鴨を歩く
「第一次後妻ブーム」のその後
せめて入籍さえしていれば
手酷いしっぺ返しを食わないために

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