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「テスカトリポカ」佐藤究

2021年09月22日 08時22分41秒 | 読書(小説/日本)


「テスカトリポカ」佐藤究

2021年 第165回 直木賞受賞
2021年 第34回 山本周五郎賞受賞

圧倒的なバイオレンス。
麻薬密売人・バルミロ・カサソラが、ジャカルタで日本人臓器ブローカーと出会い、日本にやって来る。
一方、17歳の少女ルシアは、メキシコでの生活に見切りを付け、”太平洋の端”にある日本に密航してくる。出会うはずのない人生が交錯し、物語が紡ぎ出されていく。
これこそ小説の醍醐味ではないだろうか?

P497
「だけどコシモ、イエスという男は、自分のためにインディヘナの国を滅ぼせだなんて、一度も言ったことがなかったんだ。黄金を奪って、人々を奴隷にして、スペイン王国の旗を立てろだなんて、新約聖書のどこにも書いていない。代わりにこう書いてあるんだ。(後略)」

『わたしが求めるのは憐れみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、行って学びなさい。

【ネット上の紹介】
心臓密売人の恐怖がやってくる。メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へ向かった。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年、土方コシモは、バルミロに見いだされ、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく―。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。