医療崩壊「かわら版」(2)
過酷な周産期医療の実態
昨年度、医師の選んだランキング1位は、福島県立大野病院産婦人科事件でした。
癒着胎盤剥離手術は、産婦人科医として、一生に一度遭遇するかしないかの希少例でした。福島県警は、産婦が亡くなって1年2か月後に、医師の業務上過失致死と、予見回避義務違反で逮捕、検察は起訴にもちこみました。
結果は無罪の判決とはなりましたが、この事件をきっかけに、医療現場には大きな動揺と不安が走りました。
日本産婦人科学会は、昨年9月29日、ただちに産婦人科常勤医師262名の勤務実態を調査し、第1回中間発表としました。
冒頭の表は、その一部の抜粋です。
上段は、1ヶ月間、病院に留まって診療する、最高の時間です。415時間を1日の勤務時間、8時間で割ると、1ヶ月52日間勤務したことになります。
中段は、自宅から病院に呼び出されて、そのまま勤務を続行した時間であり、1ヶ月に536時間は、実に1ヶ月67日間勤務したことになります。
下段の当直日数、1ヶ月間に12日は、ほとんど1日置きの当直勤務で、労働基準法をはるかに超えるもので、明らかな「夜勤労働」であり、定額当直料で誤魔化すことは、まさに「違法当直」そのもの。
このような過酷な勤務の下に起こった不幸な事件をきっかけに、産婦人科医の凄まじくも過酷な勤務実態が、次々に明らかにされることになりました。