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新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

医療崩壊「かわら版」(2)

2009-05-14 09:38:23 | 医師不足の深層探究

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   医療崩壊「かわら版」(2)

  過酷な周産期医療の実態

  昨年度、医師の選んだランキング1位は、福島県立大野病院産婦人科事件でした。

 癒着胎盤剥離手術は、産婦人科医として、一生に一度遭遇するかしないかの希少例でした。福島県警は、産婦が亡くなって1年2か月後に、医師の業務上過失致死と、予見回避義務違反で逮捕、検察は起訴にもちこみました。

 結果は無罪の判決とはなりましたが、この事件をきっかけに、医療現場には大きな動揺と不安が走りました。

 日本産婦人科学会は、昨年9月29日、ただちに産婦人科常勤医師262名の勤務実態を調査し、第1回中間発表としました。

 冒頭の表は、その一部の抜粋です。

 上段は、1ヶ月間、病院に留まって診療する、最高の時間です。415時間を1日の勤務時間、8時間で割ると、1ヶ月52日間勤務したことになります。

 中段は、自宅から病院に呼び出されて、そのまま勤務を続行した時間であり、1ヶ月に536時間は、実に1ヶ月67日間勤務したことになります。

 下段の当直日数、1ヶ月間に12日は、ほとんど1日置きの当直勤務で、労働基準法をはるかに超えるもので、明らかな「夜勤労働」であり、定額当直料で誤魔化すことは、まさに「違法当直」そのもの。

 このような過酷な勤務の下に起こった不幸な事件をきっかけに、産婦人科医の凄まじくも過酷な勤務実態が、次々に明らかにされることになりました。

 


医療崩壊「かわら版」(1)

2009-05-09 10:42:27 | 医師不足の深層探究

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 2月からいままでに4ヶ所で、講演会・研修会を済ませてきました。

 これまでの二十数年間のテーマは、ライフワークにしているブランチラボの構造的欠陥を衝き、反対を貫いた内容を中心にしてきましたが、福島県立大野病院産科事件を切っ掛けに、医療現場の取材と、大勢の方々の協力による情報提供を頂いて、医師不足・医師研修制度・病床削減・病院閉鎖・さまよう患者と家族、などなど「医療崩壊」現場の実態を訴え続けてきました。

 ご批判や誤りの訂正を含めて感想文を頂きながら、日に日にパワーポイントの更新を続けて、いまでは120コマにも膨れ上がりました。

 講演終了後、CD―Rやフラッシュメモリーで、持ち帰る方も数十人に達しましたが、映像の転用承認も得ていない画像もあって、職場内の勉強会で活用する程度の範囲に限定して頂いています。

 6月には、愛媛県松山・新潟県岩室と続きます。

 おりおりに、その内容を公開していきたいと思います。


研修会や講演会・ブログ再開

2009-04-08 11:18:16 | 医師不足の深層探究

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         医師不足の深層を探る!

        医療現場で起こっている惨状

 医療現場の取材や情報収集で、休止状態でしたが再開します。6月までに4ヶ所の研修会、集会、講演会などのオファーがあって、パワーポイントの作成と抄録や配布資料の提出などで、手間取っていました。全国から貴重な情報が次々に寄せられて、ほとんど毎日、パワーポイントの更新をする始末でした。

 深刻過ぎる情報、悲惨な医療現場の実態、さまよう患者や家族、冒頭のスライド画像はその一部です。

 これから、一つ一つを、目を逸らさずに事実に基づいて紹介して行きます。

 今週末は、日赤病院関係者の集会で、東京・大森での講演、 1週おいて、大阪での第5回全国検査集会で、医療情勢の報告をしてきます。

 


医療と国民皆保険の崩壊

2008-12-02 14:58:43 | 医師不足の深層探究

        総理、高齢者と病人に、またもや妄言

 20日の経済財政諮問会議、社会保障費の抑制に絡んで、麻生総理は、性懲りもなく、またもや妄言を連発。

  議事録から「たらたら飲んで、食べて、何もしない人(病人)の分の金(医療費)を、何で私が払うんだ」

 「67歳、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらとかかっている者がいる」

 「今になると、こちらの方(麻生総理)がはるかに医療費がかかっていない」

 「毎朝歩いたりなにかしているからである。私の方が税金は払っている」

 「努力して健康を保った人には何かしてくれる、そう云うインセンティブ(動機づけ)がなくてはいけない」

 そもそも、「社会保障」の成り立ちや、意味や仕組みを、全く理解していない証拠です。

 後期高齢者は、この妄言を、絶対に忘れることはないでしょう。

 病に苦しんでいる人は、一刻も早く快復して、いつか、きっと手痛いしっぺ返しをしてやる、密かに、心の中で、そう思っているに違いない。

        


医療と国民皆保険の崩壊

2008-11-21 20:49:38 | 医師不足の深層探究

     医師不足は、医者に責任?麻生発言!

 全国知事会での麻生総理大臣の発言は、一国の最高責任者としてのリーダーシップを推し測るのに最適で秀逸です

 「自分が経営(麻生・飯塚病院)しているから言うわけじゃないけど、はっきり言って社会的常識がかなり欠落している人が多い。(医師不足)これだけ激しくなってくれば、責任はお宅(医者たち)の話ではないかと。しかも、『医者の数を減らせ減らせ、多過ぎる』と言ったのはどなたでした、と云う話を党としても激しく申し上げた記憶がある」

 麻生・飯塚病院の医師たちは、お気の毒なばかりでなく、経営責任者としての雇用責任は、どなたにあるの?

               下種の勘繰り?

 「社会的常識が欠落している」と云われた自民党の最大支持母体である日本医師会、茨城県医師会を除いた46都道府県医師会の先生たちは、それでも自民党支持を謳い続ける、なんと太っ腹で、なんと心の広い方たちと、感心させられます。余程のメリット、はかり知れない裏取引が潜んでいるのかと、「下種の勘繰り」をしたくなります。

         「医療亡国論」から「医師亡国論」へ

 「医者の数が多過ぎる」の発端は、1983年「医療と国論」社会旬報で、時の厚生省保険局長・吉村仁氏「医療費をめぐる情勢と対応に関する「私の考え」に端を発しているいわゆる「医療亡国論」だったと記憶しています。

 それが、マスコミによって、「医療亡国論」から「医師亡国論」へ、一部の悪徳医師による不正請求と、長者番付報道とともに「医者が多過ぎるから、医療費が高騰する、だから国が滅びる」そして「医者減らせ」へと変質し捻じ曲げられていった経緯があります。

      首相語録 、次の傑作に期待?          

 麻生発言は、この辺を吐き違え、認識の浅薄さを露呈、いやいや、党内でも、身内(飯塚病院)の間でも、結構普段から話し合っている「ネタ」を、披露したに過ぎないのではないでしょうか。

 医師の養成定員を減らし続けたのは、ほかならぬ、「あなたの党」ではありませんか。

 それにつけても、最近の首相語録は、そんじょそこらの漫画本より、よほど面白い!