開幕間近

今季のサガンに期待することは何だろう。

一つは，マッシモ・フィッカデンティ監督と選手の信頼関係でしょう。

尹監督が築き上げた鳥栖のサッカーは，「あと1歩，あと1cm」という伝統の上に前線からの強固な守備を植えつけたものでした。
そして，最後まで諦めないというメンタルも兼ね備えさせていました。
それは，おそらく選手当時のインタビュー内容を，そのまま鳥栖の選手に注入していたのではと思えてなりません。

以前にも，同じようなことをブログに載せたのですが…。
鳥栖に入って，選手として活躍した2006年当時のインタビューで，次のような内容がありました。
自分が経験した2002World Cupで韓国がベスト４に輝いたことについて，「韓国民は予想だにしていなかっただろう。」と。
続けて語っています。
「鳥栖にだって同じことは起こり得るのです。」と。
J1昇格が決して夢でないことを，当時から信念として持っていたのです。
さらに，負けが込んできた時の練習前スピーチで，試合に臨む前の気持ちを選手に問いかけている語りがありました。
「サッカーのために心と体を張って，命をかけて戦う気でいますか？」と。
そして，「自分は，チームのために役立てるように献身的にチームをささえている。」と。
そんな，サッカーへの情熱と選手との対話が昇格へと導いたと思えます。

J1昇格の年にあれだけの成績を残せた理由の一つには，何をしてくるのか分からないという相手チームの手探りな面があったかもしれません。
しかし，球際で負けないことは徹底されていました。
奪われたら奪い返す，一人で奪えない時にはサポートに入る，シュートは体で止める，ルーズボールは相手より先に取りに行く，疲れていてもチームのボールになったら速攻を仕掛けるなど，目に見える部分ではそうでした。
ですから，攻撃を組み立てる中盤の選手が1，2枚いて押し上げてくるチームには上手く対応できていましたが，ワンタッチでパスをつないでくるチームには，対応が後手になっていました。
そうであっても，メンタル面の強さが，終了間際でのゴールを数多く生み出していたとも言えます。
どんな時も球際をとにかく厳しくいく戦術は，その後，多くのチームが取り入れたのではないでしょうか。

マッシモ監督が，選手とどんな話をし，どんな戦術を植え付け，どんな采配をしていくのか。
試合でプラスに表れると，選手の意気は上がりますし，信頼関係も高まります。
マイナスに出てくると，それを修正するのにより多くの労力を要します。

もう一つは，若手選手の育成でしょう。

広島は，毎年主力選手が抜けていっても優勝できるような成績を収めています。
いい選手が入ってきているのも事実ですが，若手が成長しているのも事実です。
いい選手を揃えるだけでよいなら，浦和は毎年優勝しないといけません。
森保監督の戦術や采配も素晴らしいのでしょうが，若手を育てることも忘れていません。
熟練した選手と若手が融合し，新加入した選手もフィットできているところが広島の強さでしょう。

鳥栖の主力を担ってきた選手の多くは，今季30歳前後です。
ここ2，3年で，若手の台頭とレギュラー化が必要です。
岡田，鎌田，白，崔，中美，福田選手や期限付き移籍している4人のうち半数近くの選手が，2年後にはレギュラーとして活躍してもらわないといけません。
鳥栖もまた，熟練した選手と若手の融合が大きな課題だと思えます。
レギュラー角の選手が負傷しても，若手がカバーできるチーム作りを期待したいところです。

水沼選手 ACLプレーオフ

FC東京に移籍した水沼宏太選手がチョンブリFC戦に先発出場。
CS放送で観戦しました。

相変わらず，いろいろな場面に顔を出して数多くのチャンスを演出。
CKも任され，先制のOGに絡みました。
すぐさま，アシストで２得点目にも絡む活躍。
前半終盤でも，浮き玉のパスから３得点目も演出。
相手をほぼ圧倒しての前半終了。

後半は夕食もあり，85分過ぎから観戦。
何と８－０でリード。
更に，水沼選手は得点も決めていました。

何より，水を得た魚のように躍動していたのが印象的でした。
鳥栖では実現できなかったACLへの参戦。
FC東京に移籍してすぐに大きな舞台に立てることは，彼のキャリアに大きなものをもたらしてくれることでしょう。
チームとしても基盤がしっかりできてきているようで，リーグ戦では上位にくい込んでくる存在になりそうです。

鳥栖は沖縄キャンプの真っ最中。
例年以上の走りこみで，１年間戦える，そして，90分間走り負けない基礎体力をつけているはずです。
新監督の戦術が浸透していく事も期待すれば，リーグ戦での対戦がたいへん楽しみです。