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名物茶入「九十九髪茄子」 現在価値は一体いくら?

2015年04月23日 15時19分05秒 | お茶
今朝の研究会で、松永久秀(1510-1577)の話になり、さらには彼が所有していた名物茶入れ「九十九髪(つくも)茄子」(付藻茄子)が話題となった。


この茶入れに当時のお金1000貫を要したとされるが、一体現在価値でいくらなのか?と。


この九十九髪茄子は、足利義満の唐物茶入であり、義満は戦場に行くときも携えていたと言われる。

高さ二寸二部(約6cm)、胴の幅二寸四分五厘(約7cm)、廻り七寸六分(約23cm)で、抹茶の茶入れとしてはやや大きい。

その後、代々足利将軍家に伝わって愛用された。

8代将軍の足利義政の時に義政の茶道の師である村田珠光の手に渡る。

このとき珠光が「99貫」で買ったことから、「つくも」という名前になったとも。


その後詳しい経路は不明らしいが、松永久秀の手に渡ったらしいが、その時に「1千貫」を要したと伝えられ、当時の茶人の垂涎の的となっていた。






さて、この「1千貫」が現在価値でいくらか? 

算定にはいろいろな考え方があるだろうが、一例として

1547年に米42石5斗4升3合7勺が22貫370文で取引されているとの記録を前提とすると、1.901石/貫文

また1石は150Kgとされているのでこれを前提とすると、1000貫とは「米285150Kg」相当となる。

一方農林水産省によれば、主食用全銘柄平均の価格は、2012年で60Kg 16501円

なので、単純計算すると「1000貫=7842万円」ということになる。

7800万! 
高さ6cmの茶入が!


これだけの大金をはたいて手にいれた名物「九十九髪茄子茶入れ」ではあるが、松永久秀は信長から所望されると献上して信長の配下になり、「大和一国」を受領している。


この「九十九髪茄子」は信長のお気に入りにもなり、天正10年5月上洛した時も携え、本能寺の変のときも信長の側にあり、この時に灰燼に帰したという説があるし、前日に息子信忠に譲ったとの説もある。


なお、松永久秀は、当時の名物である蜘蛛が這いつくばっているような形をしていたことから「平蜘蛛釜」の名が付けられた名物釜も所有していたが、これについてはその後信長から幾度となく所望されても断っている。

後に、久秀は信長に侵攻されて信貴山城にて自害するが、この際、平蜘蛛釜が信長の手に渡るのを潔よしとしない久秀によって、この釜は打ち壊されたとも、久秀は平蜘蛛釜と共に爆死したともいわれている。


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